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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


めっきとは

 

 

めっきには様々な方法があり、めっきする材料や場所、用途などの条件により、めっきの種類は変わってきます。めっきには大きく分けて「湿式めっき」と「乾式めっき」があります。

 

湿式めっき

 

液体中に物を入れて電気分解や化学反応を利用してめっきを行う方法をいい、ここでは電気めっき、化学めっきについて説明します。

 

電気めっき(electroplating)

 

めっきしようとする金属イオンを含む溶液中に、金属を浸漬し、直流電解によって、その金属表面に金属イオンを析出させる方法です。

 

 

めっき層の評価には、光沢平滑などの外観、厚さ、多孔性、耐食性、硬さ、内部応力などがあります。外観は素地の仕上げとめっき条件によって決定します。厚さは「電流の強さ×電解時間」、硬さや内部応力は添加剤やめっき条件で異なります。

 

そのため、めっきの浴組成、作業条件がめっき層の品質に影響します。また、電気めっきを行う場合、有害薬品を使用するため、廃棄には十分な注意が必要で、水溶液によってはその廃水に厳しい基準があることもあります。

 

普通のめっきではめっき層が厚くなると光沢がなくなってしまいます。そのため、浴に適当な添加剤を加えることで、平滑な光沢めっきを施すことができます。

 

またクロムめっきは、めっき層の光沢がよく、空気中での変色もなく、摩擦係数が小さく、耐摩耗性、耐食性に優れているため、様々な用途があります。

 

 

亜鉛やカドミウムめっきなどは処理後そのままにしておくと変色してしまいますが、クロメート処理を施すことで、耐食性が著しく向上し、光沢膜または着色膜を得ることができます。

 

 

化学めっき(chemical plating)

 

化学めっきは電気エネルギーを利用せずに、めっき液の還元物質と金属イオンを反応させることで、他の素材表面に金属イオンを析出させる方法を言います。

 

この方法の利点は、素材形状に関係なく、比較的均一な膜ができることです。しかし、析出速度が遅く、めっき層も比較的薄くなり、装置材料や浴の管理が難しい、そして高価になるなど欠点もあります。

 

化学めっきでは厚さが均一であること、加熱によって硬度を上げることができるため、耐摩耗性皮膜として利用されています。さらに、銅の化学めっきはプラスチック上の電気めっきの前処理に多く用いられています。

 

 

乾式めっき

 

乾式めっきには真空中でめっきを行う「真空めっき」と溶融した金属を用いてめっきを行う「溶融めっき」があります。

 

 

真空めっき(vacuum coating)

 

高真空中で金属あるいは化合物を加熱蒸発させ、蒸発した原子または分子をめっきしたい物体にあてることで表面に金属または化合物の薄膜を形成する方法を真空めっきと言います。ここで薄膜とは、厚さ1μ以下を指しています。

 

 

工業応用例として、装飾品、包装紙などの上に、アルミニウムを蒸着して金属光沢を与えるもの、電気的用途として抵抗、コンデンサに実施しています。

 

素地はガスを放出しないのであれば、金属だけではなく、非金属を用いることができます。
また、真空めっきの成膜法にはPVD法(物理蒸着法)、CVD法(化学蒸着法)があります。

 

PVDは固体材料を熱やプラズマのエネルギーを用いて気化させ、基板に堆積させることで成膜します。CVDは膜としたい元素を含むガスを用いて、熱やプラズマなどのエネルギーを利用して、励起や分解させて基板表面で吸着、反応を経て成膜する方法です。

 

さらにPVD法は真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの製法があります。CVD法にはプラズマCVD、熱CVDなどがあります。様々な成膜法があるため、それぞれの特徴、用途を考えた上で選択することが必要になります。

 

 

気相めっき(gas plating)

 

金属ハロゲン化物やカルボニル化合物を熱分解あるいは水素還元することで金属皮膜を得る方法を「気相めっき」といいます。しかし、設備が複雑でコストが高いことや、作業温度が高く、材料が熱履歴を受けること、薬品が危険であることなどから特殊分野でのみの実用です。

 

 

溶融めっき(hot dip coating)

 

被めっき物を溶融した金属浴中に浸漬して引き上げ、表面にその金属の膜を得る方法を言います。この方法を用いる際、素材の融点がめっきすべき金属の融点より高くなければならないため、用いることのできる金属、合金の種類が少ないのです。

めっきの操作自体は簡単で、短時間で厚いめっき層が得られますが、その厚さを自由にコントロールすることができません。また、素材の一部が変質してしまう場合もあります。
溶融めっきの工業応用例として、トタン板、ブリキ板などが挙げられます。

 

鉄鋼のさび止め用として亜鉛を用いて、板に施したものがこのトタン板で、建築用材度して用いられます。また、線に施して有刺鉄線としたり、他にも鉄塔、ボルト、ナットなどにも多く施されています。ブリキ板は鉄板に鈴を施したものです。銅線にすずを施したのは電線として使用されます。すずは防食性とハンダづけのしやすい点が利用されます。

 

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