1.トップダウン設計とは
はじめに
このカテゴリでは3次元CADの実践編として、「グランドコック」を題材にトップダウン設計とはどのようなものであるか学習していきます。また、ただ単に3次元CADを使う部分に限定せず、設計の大まかな流れも理解できるように、設計の各工程での作業内容についても少し触れています。
トップダウン設計とは
トップダウン設計とは、製品全体のレイアウトを先に決めて、各部品を順次設計していく方法のことです。
3D-CADに限った方法ではなく、古くから一般的に行われている設計方法です。
例えば、マウスの設計でいきなり中央の回転するボタンを設計する人はいません。まず、全体の大きさ、ボタンの数、電池のサイズ、デザインなどを決めてから各部の詳細な設計を行います。
以上のように、トップダウン設計とは、目新しい設計方法ではなく、過去から当たり前のように実在する設計方法です。
トップダウン設計に対して、ボトムアップ設計という言葉があります。ボトムアップ設計とは、それぞれの部品を別々に設計して組み付けて完成品を作っていく設計方法と定義されています。トップダウン設計とボトムアップ設計のどちらが良い設計方法なのかという議論がありますが、それぞれ比較対象とはなりません。
なぜなら、設計する対象によって変わってくるからです。機械設計において、ボトムアップ設計が適用できる製品は殆どありません。
設計は全体のレイアウトを考慮して部品を設計します。
全体のレイアウトでは、隣接する部品間の合わせ位置や部品の動作などを考慮した上で仮決定します。
そして、個々に設計した部品を組み合わせて問題があれば全体のレイアウトを見直したり、部品を修正したりの繰り返しです。
下記のようなイメージとなります。
従って、ボトムアップ設計というのは殆どの設計で適用できず、あるとすれば既におおよその形状が決まっている流用設計や部品点数が少ない製品となるでしょう。
3D-CADで設計する際に、ボトムアップ設計ではなくボトムアップモデリングという方法は存在します。
ボトムアップモデリングは、個々の部品をモデリングして最後に組み合わせるという方法です。例えば2次元で設計した図面が既に存在しており、それを3次元化する際に利用されます。必ずしも全ての製品を3次元で設計する必要はなく、2次元で設計した方が効率の良い場合もあります。
以上のように設計とモデリングは全く異なったものです。設計は思考しながら形状を決めていく作業であり、モデリングは決まった形状を造る作業です。
これから解説する内容はモデリングではなく設計についてです。従って、設計者の思考に基づいた3D設計について解説していきます。設計の進め方には以下の2通りがあります。
1.組立図 → 部品図
2.計画図(構想図) → 部品図及び組立図
トップダウン設計というと、組立図から設計するものと勘違いされる方がいますがそうではありません。
トップダウン設計とは、冒頭でも説明したとおり、製品全体のレイアウトを先に決めて、各部品を順次設計していく方法のことです。3D-CADでは組立図(以下、アセンブリ※1)と部品図(以下、部品)は、ほぼ同時に完成することになります。
従来の2D-CADでは組立図(アセンブリ)から設計する手法がありましたが、3D-CADではこの方法は使えません。なぜなら部品とアセンブリはデータが連動しているからです。
※1 3D-CADでは組立図のことをアセンブリといいます。
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