3.トップダウンで設計しよう
「グランドコック」を題材にトップダウン設計の方法について実際の設計に則した形で解説します。但し、対象となる製品によって手順が変わるため、あくまでも一例とします。また実際の設計過程においては、様々な問題が発生しこれから解説するような理想的な流れではないこともご了承ください。
3D-CADでのトップダウン設計は以下の流れで進めていきます。
・構想設計
・計画モデル設計 (3D-CAD)
・アセンブリ作成 (3D-CAD)
・基本設計 (3D-CAD)
・試作品製作
・デザインレビュー
・詳細設計 (3D-CAD)
構想設計
構想設計とは設計の初期工程において、使用条件・部品構成・材質・動作・目標性能・製造方法など基本的な仕様を決定することです。
市場状況から目標コストを算出するのもこの段階です。
設計者はこれらの情報を元に紙に構想を描きます。頭の中に思い描いたアイディアをポンチ絵として紙に書き出します。ポンチ絵とはフリーハンドで3次元的にラフにスケッチすることです。ポンチ絵には製品全体の大きさ、基準位置、動きのある部分の寸法などを入れます。
そして、この段階では様々なアイディアを出して比較検討します。状況によっては関係者の意見を取り入れアドバイスを受けます。ポンチ絵で表すことができない場合は、CADを使って表現するのも良いでしょう。開発コストの70%以上が設計初期に決まると言われていますので、構想設計は非常に重要なステップです。ここでの検討が不十分ですと、後になって修正が入ることになり、無駄な時間とコストの発生につながります。
計画モデル設計
構想設計で決定した仕様をベースに計画モデルを3D-CADで作成します。
計画モデルは1つのファイル内で全ての部品を設計するようなモデルファイルのことです。
計画モデルには以下を作成します。
・製品の全体サイズ
・部品間の合わせ面
・動作部の形状
必ずこう作らないといけないという決まりはありません。状況によって作成するレベル(どこまで作りこむか)を変えます。計画モデルは3D-CADの機能であるカーブ、サーフェス、平面、軸などの質量を持たないフィーチャーを使って作成します。(また、ソリッドワークスのようにマルチボディの機能があるCADの場合、ソリッドでも作成できます。)完成するモデルはカーブや面のみの骨組み構造となります。(骨組み構造であることからスケルトンとも呼ばれます)
計画モデルは設計の進捗度合いによって成長させます。いきなり全てを完成させる必要はありません。
ここからはあくまでも一例です。(使用するCADによっても構築方法は変わってきますが考え方は変わりません。)
まず、構想設計で決まった製品の最外形を計画モデルに作成します。この範囲内で設計をするという目安になります。設計中(試行錯誤している間)に、幅、高さ、奥行きを変更しなければならないケースが出てきます。以下のように境界となるボックスを描いていると分かりやすいです。
次にコックの通水路を作成します。グランドコックに接続するパイプには規格があるため、規格に合わせた口径を指定します。規格の口径より大きかったり小さかったりすると、圧力損失が発生します。パイプと滑らかに接続させるためにも出入口は同じ口径で設計します。
パイプを下図のようにサーフェスで作成します。パイプの長さはグランドコックの幅と同じにします。
次に弁をサーフェスで作成します。また、弁の形状に合わせて出入口の径を絞り弁棒の外径を作成します。
具体的なCADの操作は解説しませんが、何を作っているのかだけ理解できれば大丈夫です。
計画モデルの作成はここで一旦ストップします。
グランドコックの製品の最も重要な機能及び性能は、流体の流れを止めたり、流したり、流れる量を調整することです。なぜなら、これらの機能及び性能が満足できるかここまでの形状で検証ができるからです。
独自開発されたMONO塾の「ステップ式学習プログラム」<法人採用実績:700社以上>
カテゴリーメニュー
スポンサード リンク