ねじの用途と構造
ねじの用途
私達の最も身近にある機械要素がねじです。自宅においても、壁に絵画を取り付けたり、カーテンレールを取り付けたりするのもねじです。また、ねじは部品を固定するのみでなく、万力(まんりき)のように回転運動を直線運動に変える働きがあります。
設計者は、ねじの種類と特徴をよく理解して、設計する機械や製品にどのねじを利用するのか決めなければなりません。ねじには力が加わるため、ねじの選択を誤ると機能を果たせなかったり、最悪は破損に繋がったりします。
近年、発生している事故の多くは「ねじ」をはじめとした機械要素によるものです。遊園地で起きたジェットコースターの事故では、車輪の軸を固定するねじの疲労破壊により発生しています。従って、設計者はねじをはじめとした機械要素を使用環境に応じて適切に利用する必要があります。
ねじの構造
はじめに「ねじを選択する際に知っておくべき基本的な知識」について説明します。
ねじの断面を観察すると図のように山と谷が存在しているのが分かります。
おねじの場合、外側の径を外径 内側の径を谷径 といいます。
めねじの場合、内側の径を内径 外側の径を谷径 といいます。また山の角度をねじ山の角度(included angle)といいます。
隣り合う山の中心間距離をピッチ(pitch)といいます。ピッチは p という記号が使われます。例えば、ピッチが1.2mm の場合 P=1.2 です。
そして、ねじの谷の幅がねじ山の幅に等しくなるような仮想的な円筒の直径を有効径といいます。
ねじが1回転したときに進む距離をリードといいます。
ねじの有効径をdとし、リード角を β とすると、リードLは次の式で計算されます。
(円の周りの長さは、中学生で学んでいますが、直径の約3.14倍です。)
tanβ=L/πdより
リード L=πdtanβ となります。
従って リードL はピッチpと等しくなります。
これは1条ねじの場合であり、2条ねじの場合は異なります。
1条ねじとは1本のつる巻き線にそってねじ山を作ったものです。
つる巻き線とは先ほどの直角三角形を円筒に巻きつけたときにできる「らせん」のことです。
2条ねじでは、2本のつる巻き線となるため、リードは1条ねじの2倍となります。
従って、リード L=2p となります。
ゆえに、リードLはねじの条数によって以下の式で表すことができます。
n: ねじの条数
p :ピッチ
右ねじ 左ねじ
一般的に使われるねじは右ねじです。右に回すと締り、左に回すとゆるみます。
左ねじとはその反対となります。
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