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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等



ねじのゆるみ止め

ねじは、通常しっかりと締まってなければいけませんが、永久的に結合してしまうと、メンテナンスや保守、修理、運搬ができなくなります。つまり、通常時にはしっかりと締まって固定されており、必要の際にはゆるめて取り外しができるようにする必要があります。

 

 

また、ねじは、時間が経過すると、視覚的に確認することは難しいですが、少しずつゆるみます。さらに、振動の影響を受ける機械、モーター、あるいは常に車の振動の影響を受けている道路や橋などの建造物は、ねじがゆるむスピードが早いため、通常のボトルとナットを締めること以外にもゆるみ止めの対策が必要です。

 

ここでは、ねじがゆるむ原因を説明し、ねじのゆるみが発生しにくくする方法についても紹介していきます。

 

 

ねじがゆるむ原因とは?

 

ボルト、ナット等のねじがゆるむ原因は大きく分けて、2つに分類されます。

 

回転しないゆるみ

 

初期ゆるみ

締結する際に、被締結部材(ボルトで固定される部材)、ボルトの座面、ナットの座面などの接合部分に負荷がかかります。締結する前、それぞれ接触する面には、微細な凹凸がありますが、これが締め付けられたあとには、摩耗し徐々に平坦になります。これがゆるみを発生させます。

 

陥没ゆるみ

ボルトやナットによる締め付けの圧力により、被締結部の表面が陥没しゆるみが生じます。

 

衝撃、振動によるゆるみ

振動、衝撃により、締め付ける力が低下して、ゆるみが発生します。

 

温度差によるゆるみ

被締結部が温度の差によって膨張、収縮を繰り返すことによりボトル、ナットがゆるみます。

 

 

回転するゆるみ

 

戻り回転によるゆるみ

ボルトとナットの戻り回転の力により、ゆるみが発生します。

 

軸直角方向への繰り返し外力によるゆるみ

非締結部材が横(軸直角方向)に繰り返し力がかかると、ゆるみが発生します。

 

 

 

 

ねじのゆるみが発生しにくくする方法

 

通常使用時にしっかりとした結合が維持できる、ねじに追加して使用する機械要素部品や、ねじのゆるみが発生しにくくする方法を説明していきます。

 

座金(ワッシャー)
座金には、平座金、ばね座金、歯付き座金などがあり、通常のゆるみ防止以外にもボルト穴が大きすぎたり、座面に凹凸があったり、傾いている場合の対策としても使われます。

 

平座金 ばね座金 歯付き座金

一般的によく使われています。素材は鉄、ステンレス以外にゴム、シリコン、プラスチックの場合もあります。 ばねの作用を利用したもので、ゆるみ防止に効果があります。スプリングワッシャーとも呼ばれます。 歯によって座面に傷跡がつきますが、ゆるみ防止に関して高い効果が得られます。

 

 

ダブルナット

 

 

主に振動に対するゆるみ止めの方法として有効とされています。通常ボルトとナットは一つずつ使われますが、ダブルナットでは、ナットを上下重ねて2つ使います。こうすることでナット間に引張力が働き、ナット同士を締め付ける効果があります。

 

ハードロックナット

 

 

ハードロックナットは日本古来の技術であるくさびの原理を元にして、1974年にハードロック工業によって開発されました。ナットの部分にくさびの役割を持つ溝が作られています。従来のナットに比べ格段にゆるみの発生を抑えられる効果があります。

 

溝付きナットと割ピン

 

 

ボトルをナットに挿入後、ピンをボルトにある穴を貫通させナットの溝にはめ込みます。これによりナットの回転を抑制でき、ねじのゆるみを防止できます。溝付きナットはキャッスルナットと呼ばれることもあります。

 

ゆるみ止め用接着剤

 

専用接着剤によってゆるみを防止します。塗布する場所は、主にボルトの溝の部分になります。様々な種類がありますが、中には、使用したらその後取り外しできない強力な接着剤もあります。

 

 

また、ねじのゆるみを防ぐ方法、技術として次のようなものがあります。

 

対角線に締める
主にタイヤの取り付けに用いられます。ボルトは一方方向の順番に締め付けると、一箇所の部分に偏った力が集中してしまいますが、対角線にボルトを締めることによって、締め付ける力を均等にすることができます。

 

増し締め
一度締めたボルトを半日後、あるいは1日後に再度、締め付けることによって、ねじゆるみを防ぎ、締め付け力を向上させることができます。

 

 

ねじがゆるむと機械が正常に作動しないなど、思わぬ重大な事故にもつながりかねませんので、正しい知識と対処方法を知ることが大切です。

 

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