板金加工とは
自動車のボディーの凹みなどを修理することを板金加工といいますが、機械設計分野の板金加工は少し異なります。機械設計分野における板金加工とは、金属製の板材を、「切断」・「穴あけ」・「折り曲げ」などにより、目的の製品・部品形状に仕上げていく加工のことです。
また、板金加工に似たものとしてプレス加工があります。プレス加工は板金加工と少し異なります。プレス加工は金型を用いますが、板金加工では板材を打ち抜く「タレパン」、板材を折り曲げる「ベンダー」などの汎用機を使って加工するため金型を用いません。従って、「初期投資が安い」「設計変更に柔軟に対応できる」などのメリットがあります。
板金加工によって作成された部品を「板金部品」といいます。板金部品は自動車、家電製品の部品や、複数の部品をくっつけて大型の機械部品などで利用されています。
板金の材料と板厚
板金で用いられる材料の板厚は、規格で決まっており、一般的には3mm程度までのものが標準的なものとして流通しています。板厚はt3.0のように表現されます。tは厚みを示し、単位はmmとなります。良く利用される材料と板厚を下表に示します。
ステンレス |
アルミ |
鉄 |
銅 |
---|---|---|---|
t0.3 |
t0.5 |
t1.0 |
t0.3 |
t0.5 |
t1.0 |
t1.2 |
t0.8 |
t0.8 |
t1.2 |
t1.6 |
t1.0 |
t1.0 |
t1.5 |
t3.2 |
t2.0 |
t1.2 |
t2.0 |
t4.5 |
|
t2.0 |
t2.5 |
t6.0 |
|
t2.5 |
t3.0 |
||
t3.0 |
t4.0 |
||
t4.0 |
t6.0 |
||
t5.0 |
|||
t6.0 |
板金加工の工程
板金部品は以下の工程で作成されます。
1.図面の展開
2.切断加工・穴加工
3.前加工
4.曲げ加工
5.溶接
6.仕上げ
図面の展開
設計図は下図に示すように第三角法により描かれています。板金部品の場合、平らな板となる展開図にします。
材料を曲げると伸びが発生するため、伸びを考慮した展開図にする必要があります。
例えば、展開図の長さLは、
L= 30mm + 42.6mm - x となり、伸びる量 x mmを差し引いく必要があります。
材料の切断加工・穴加工
展開形状に合わせて、外形加工や穴加工を行います。加工に利用される機械は、「シャーリング」、「タレパン(タレットパンチプレス)」、「レーザー加工機」などがあります。シャーリング、タレパンは、せん断による加工方法となります。ダイとパンチの形状により、直線加工、穴加工などが可能となります。
前加工
切断面に発生する「バリ」と呼ばれる角や面がはみ出た部分を取り除きます。また、ねじ穴をあけるタッピング加工も、次に示す曲げ加工の前段階で行います。
曲げ加工
切断された平らな展開部品を曲げる工程となります。ダイの上に、展開部品を乗せてベンダーなどの専用の機械を使って上からパンチで圧力を加えます。
溶接
折り曲げた板金部品は単体で製品となるもの、板と板をくっつけて製品となるものがあります。くっつける場合は、溶接やリベットで接合します。
仕上げ(加工、メッキ、塗装など)
溶接部で発生した凹凸部を削り、メッキ塗装などの表面処理を行います。
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