鍛造とは
鍛造(たんぞう)とは、「鍛えて造る」と書くように、金属を叩いて加工することです。
古くは、農機具や刀などの加工に用いられてきました。
熱を加えて柔らかくした金属を、ハンマー等で叩いて変形させます。
徐々に目的の形状に近づけていきます。
叩くことで金属は鍛えられ、金属が持つ機械特性がよくなります。
金属が変形する際に、金属は塑性変形(そせいへんけい)を起こします。塑性変形とは、ある一定の変形を超えることによって、永久に元に戻らない変形状態のことです。このようにして金属が形作られていきます。
鍛造された金属の内部では、結晶粒度が高くなっています。叩いて圧縮することで粒子が整列します。
粒子が木目のように整列した状態をメタルフロー(鍛流線)といいます。メタルフローは金属粒子の流れる方向であり、この方向に直角な方向で強度が強くなります。
メタルフローを考慮して設計することで、製品の強度を増すことも可能です。
型打ち鍛造
昔の刀や農機具は、職人の手作業によって造られていました。
職人は、ハンマーを使い、たたく方向や力加減で形を微調整していきます。したがって、全く同じものは作れず、完成品には微妙な形状の違いが生じます。このような鍛造方法を 「自由鍛造」 といいます。
一方、同じ形のものを大量生産する場合はハンマーの代わりに金型が用いられます。
金型を用いることで、同じ形状の製品を大量に生産することが可能となります。これを「型打ち鍛造」 といいます。
鍛造の工程
鍛造は以下の工程で作業が進められます。
1.材料の切断
材料を目的の形状に見合ったサイズで切断します。
2.材料の加熱
材料を1200℃程度に加熱します。
3.鍛造
鍛造の型は複数存在します。
まずは粗型で最終形状に近づけていき、仕上型で最終形状にします。
4.バリ抜き
プレス機で製品に発生するバリを取り除きます。
5.熱処理およびショットブラスト
<参考動画>
冷間鍛造と熱間鍛造
鍛造は大きく 「冷間鍛造」 と 「熱間鍛造」 に分かれます。
冷間鍛造が常温で造るのに対して、熱間鍛造は熱を加えて造ります。
常温で造る冷間鍛造の場合、非常に大きな力をかけることで、冷えた金属でも変形させることができます。
冷間鍛造と熱間鍛造の特徴とメリットを以下に示します。
冷間鍛造
- 寸法精度が高い
- 面粗さが優れる
- 小さな部品の製造に適する
熱間鍛造
- 大変形に適している
- 金型の耐久性が優れる
- 複雑な形状に向いている
鍛造で作られる製品
「鍛造」は、その特徴を活かしてさまざまな製品で利用されます。
・ピストン、クランクシャフト、ホイールなどの自動車部品
・工具
など強い強度を必要とするもの。
また、小さな部品では、
・ボルト
・ナット
・リベット
・歯車
などです。
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