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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


機械設計と材料選択

機械設計を行う上で材料選択は重要項目の一つとなります。機械要素設計にあたって使用する材料の特性を適切に利用しなければなりません。そのためにまず必要な材料の特性をしっかり理解しておかなければなりません。

 

材料特性には

 

1 機械的特性
2 物理的特性
3 化学的特性

 

などがあります。

 

1 機械的特性

 

機械に使用される機械材料にはそれぞれ特徴や機能性を有しています。機械的特性を十分理解することで、どの機械的特性を用いれば設計したい機械要素の材料を選択できるのかを知ることが出来ます。

 

この機械的特性は試験により算出することもできますし、一般的な材料については工業規格であるJIS を参照することで知ることができます。JISなどに記載されている機械特性値は、次に説明するものが記載されています。

 

強度
材料に外力が加わることで材料内部に応力が発生します。
 
この内部応力の大きさがその材料の限界を超えた時、材料は破壊します。この破壊に対する強さを静的強度といいます。静的強度の中でも一般的でよく使用されるのが引張強度です。 
金属材料の物性表を調べると、必ず引張強度の記載があります。

 

静的強度は荷重のかけ方の違いによって分類できます。 引張強度の他に 圧縮強度、せん断強度、曲げ強度、ねじり強度 があります。材料の使用形態によって、これらの強度を使い分けます。

 

 

加工硬化
機械材料は外力が加わることで変形します。例えば引張試験を行った場合、応力−ひずみ線図を得ることができます。

 

弾性限以下では弾性変形のため、力を取り除くと材料は元の形に完全に戻ります。(ゴムのように形が元に戻る)
しかし、弾性限を越えると、力を取り除いても変形は完全に戻らず塑性変形が生じます。(粘土のように形が維持される)
応力−ひずみ線図からわかるように、塑性変形が進むと応力は増加しています。この現象のことを加工硬化といいます。

 

 

つまり、材料に塑性加工を行うと、加工硬化が生じるため、引張強さ等の機械的特性が変化することになります。そのため、材料の加工硬化を知ることは重要となるのです。

 

また、加工硬化は材料の熱処理によって加工前の機械的性質に戻ることが出来ます。そのため、塑性変形と熱処理を組み合わせることで、必要な強度を得ることができます。

 

 

硬度
機械材料の硬さは手軽に測定できることや、硬さの値から多くの機械的特性の推定が可能なため、非常に重要な機械的特性の一つです。

 

一般的に金属材料に用いられる工業的硬さ試験では、圧子を測定物に押し付けて、このときの荷重と生じたくぼみの大きさから硬さを決定しています。ただし、多くの硬さはある程度塑性変形を与えているため、変形の程度によって硬さが異なります

 

硬さ試験には動的荷重を加えたものや、引っかきによるものもあります。

 

衝撃特性
衝撃特性を知ることは,材料の「もろさ」を判定することができます。例えば、静的な力を加えても強度に問題がない材料でも,衝撃的力を加えると、もろい場合があります。

 

材料のじん性は材料の化学成分や組織、非金属介在物の状態の変化によって非常に敏感です。そのため、材料選定においては衝撃特性も重要となります。

 

衝撃試験には静的試験と同様に、引張、圧縮、せん断、曲げ、ねじりがあります。しかし、じん性評価試験として一般的なのは曲げ試験です。

 

疲労
機械構造物の破壊や損傷の多くが、機械部材の疲労によるものです。例えば、遊園地で起こったジェットコースター事故では、車輪の軸を固定するねじ部の疲労破壊により発生しています。

 

機械部材は上記の機械的特性を考慮し、材料選定され設計されていても、繰返し負荷されることで、静的負荷の場合と比較して非常に低い強度においても破壊や損傷が生じてしまいます。

 

そのため、機械設計を行う上で、静的強度を基礎として設計するだけではなく、使用期間や繰返し負荷を考慮した設計が重要となってくるのです。

 

疲労破壊は、

 

・負荷が変動する場合
・負荷は一定でも部材が運動する場合
・外部負荷はないものの温度変動がある場合

 

など、部材に働く応力が変動することで起こります。

 

そのため,材料の疲労強度を知ることもまた重要となります.これは疲労試験で確認することができます.

 

繰返し応力を加えて、材料が破壊するまで試験を行うのです。また,この試験から有限寿命設計を行うことも出来ます。材料の使用期間、つまり寿命をあらかじめ決めておき、その期間内に疲労破壊が生じないように部材を設計するのです。

 

 

物理的特性

材料の形状に依存しない材料の特性の一つとして,物理的特性があります.物理的特性は、融点,沸点,密度などであり,これらを知ることは機械設計上,材料の用途を決定する際重要となります.

 

化学的特性

機械設計を行う上で,腐食についても考慮しなければなりません.材料の劣化の一因に腐食が影響しています.腐食の原因となる環境や化学反応は様々ですが,機械材料を選択する上で,材料の使用環境から化学的特性を知ることも重要になります.

 

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