鉄鋼、炭素鋼などの機械材料について
機械設計を行う上で材料選択は重要な項目の一つであり、その機械要素の要求する仕様や機能を満足させるような材料の様々な特性を考慮しなければなりません。
一般に金属とは結晶性をもっているため、素材が破断せずに柔軟に変形し(展延性に優れる)、電気や熱を伝えやすい等の特徴を有しています。
また、同一組成の金属でも、原子の配列によって金属の特性は異なるのです。そのため、同じ金属でも熱処理などによって結晶格子型が変化すれば、金属の性質は大きく変化する場合もあるのです。
そこで以下には機械設計に用いられる代表的な機械材料の特徴や特性等を紹介します。
鉄鋼材料
鉄鋼材料とは炭素の含有量によって大きく3つに分類されます。
- 炭素の含有量が0.02%以下のものを鉄
- 0.02-2.1%のものを鋼
- 2.1%以上のものを鋳鉄
とよびます。
また、鋼は炭素以外のクロムやモリブデンなどの合金元素が加えられているかどうかで2つに分けることができます。
- 合金元素を特に加えていないものを炭素鋼
- 加えているものを合金鋼
といいます。
自動車や航空機などの各種機械類や構造物の部品にはこの炭素鋼や合金鋼が多く使用されているため、「機械構造用鋼」といわれます。
直径約15mm以下の小物は炭素鋼、それ以上の部品は合金鋼が使用されています。それではそれぞれの鋼材の特徴を説明します。
炭素鋼
機械設計を行う上でよく知られている炭素鋼は一般構造用圧延鋼材、いわゆる「SS材」とよばれるものです。例えば、SS400は「400」という数値が示されています。これは400MPa以上の引張強さを持つ鋼材であるとJISで規定されているのです。
このように炭素鋼は引張強さ等の機械的性質によって分類されることもあります。そしてこれだけではなく、炭素の含有量によって、「低炭素鋼」、「中炭素鋼」、「高炭素鋼」と分類されること、組織による分類、「リムド鋼」や「キルド鋼」など製法による分類、熱処理による分類など、様々な分類やよび方があります。
そのため、機械材料として炭素鋼を選択する場合は、成分、製法、用途などによって分類されたJIS規格が重要になります。先程のSS材は溶接性や低温靭性については保証されていない鋼材です。そこで、溶接性を良くした鋼材が必要ならば同じく引張強さがJISで規定されている 「溶接鋼材用圧延鋼材(SM材)」を選択することになります。
また、機械構造用として広く用いられる鋼材が「機械構造用炭素鋼鋼材(S○○C材、S○○CK材)」とよばれるものです。
SS材は炭素量の規定はありませんが、この鋼材は炭素含有量によってS10C〜S58Cの範囲の20種類とS09CK、S15CK、S20CKの3種類がJISに規定されています。機械的性質は炭素含有量と熱処理に依存するので、材料を選択する場合は処理や用途によって注意が必要です。
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