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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


強度理論(材料別による破損)

機械製品を破損させないように設計するためには、使用する材料の機械的特性をよく知ることが重要です。機械的特性を知った上で、どの強度を考慮して設計するのかが大切になります。

 

 

製品が破損に至ったとき、部材内部でどのような応力が発生しているのか把握する必要があります。そして、破損する理論には次の3つの仮説が唱えられております。

 

  • 最大主応力説
  • 最大せん断応力説
  • せん断ひずみエネルギー説

 

この3つの仮説について説明する前に、破損の簡単なメカニズムを先に説明します。

 

破損が発生するのは、部材が持つ強度を超える力が加わるからです。
例えば、下図のように断面積が10 [mm2 ]の部材に水平方向のみ2000[N]の力がかかる単純なケースで説明します。

 

 

このとき材料内部に発生する応力は 力÷断面積 で求められるので、
2000[N]÷10[mm2 ] = 200 [N/mm2 ] となります。
この応力は、材料が持つ降伏応力400 [N/ mm2 ]より小さいため破損しないことになります。

 

 

以上のように一軸方向に力が加わった場合の応力を求めて、材料が持つ強度と比較することが一般的に行われます。また、材料の強度は一軸方向で試験するのが一般的です。

 

しかし、実際の製品において、さまざまな方向に力が加わり、発生する応力も複雑となります。このような複雑に発生する応力を一軸に置き換えて考えるのが 「強度理論」 となります

 

強度理論を以下のコックを題材に説明します。

 

コックは、ハンドルを開閉させることで水を流したり、止めたりするものです。水が流れているときは、圧力を受けます。圧力が加わると製品に応力が発生します。このとき発生する応力は複雑であり、机上計算で正しく求めることは困難です。そこで有効であるのがコンピューターを使ったCAE解析です。CAE解析を使うことで、複雑な形状や複雑な力が加わる応力を簡単に求めることができます。

 

 

CAEで出力される応力は、強度理論 で評価が可能となります。それでは、それぞれの強度理論について詳しく解説します。 (※ なお、「材料力学の基礎を学ぶ」で応力の基礎を詳しく解説しています。)

 

最大主応力説

 

「最大主応力説」 は、部材の内部に発生する 最大となる主応力が材料の強度に達した時、破損を生ずると考えるものです。主応力には 「大きさ」 と 「方向」 があります。

 

 

主応力がプラスの値を示す場合を「最大主応力」、マイナスの値を示す場合を「最小主応力」といいます。

 

最大せん断応力説

 

「最大せん断応力説(トレスカの説」 は機械に生ずる最大せん断応力が材料の強度に達した時破損を生ずると考えるものです。材料によっては、他の応力よりせん断応力の方が小さい値であったとしても破損することがあります。

 

せん断ひずみエネルギー説

 

「せん断ひずみエネルギー説」 は機械の単位体積中に蓄えられる全ひずみエネルギーのうち、体積変化を伴わないせん断ひずみエネルギーが材料の強度に達した時に破損すると考えるものです。せん断ひずみエネルギーに比例する相当応力をフォン・ミーゼス応力といい、主応力のように方向を持たない応力となります。

 

 

以上のように部材が壊れる理論として、これら3つが有名ですが、材料によって適した説を利用して設計する必要があります。

 

延性金属材料

 

延性金属材料の破損は、「最大せん断応力説」および「せん断ひずみエネルギー説」を考えて設計すると良いでしょう。特に、せん断ひずみエネルギー説は実験結果との対応もよいことから設計に関してはせん断ひずみエネルギーを用いることが多いです。

 

脆性材料

 

鋳鉄などは引張試験から得られる応力ひずみ線図がほぼ直線的で、降伏を示さずに破壊に至ります。また引張強さと比較して、圧縮強さのほうが大きく、ねじり強さはほぼ同じなどの特徴があります。そのため、脆性材料「最大主応力説」を多く用いられています。

 

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