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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


3Dプリンターの原理(個人向け)

一口に3Dプリンターといってもその原理はさまざまです。個人向けの3Dプリンターの主な方式は熱溶解積層法(FDM)です。溶けた樹脂を固めながら積層するタイプとなります。
3Dプリンターを選ぶ場合、「個人向け」 及び 「業務向け」に限らず、どのような方式のものが存在するのか、理解しておく必要があります。以下の5つが主な方式です。

 

・熱溶解積層法
・光造形
・インクジェット方式
・粉末石膏造形
・粉末焼結造形

 

それぞれ利用できる材料が異なったり、造形の精度(綺麗さ)が異なったりします。

 

造形方式

原理

材料

寸法精度

熱溶解積層法(FDM) 溶融樹脂を押し出して積層 ABS,PLA,ナイロン等

インクジェット方式 溶融樹脂を紫外線で硬化又は接着

光硬化性樹脂
アクリル系
ABSライク
PPライク

光造形 溶融樹脂をレーザーで硬化

エポキシ系
PPライク
ABSライク 等

粉末石膏造形 接着 石膏

粉末焼結造形 レーザーで焼結

ナイロン
ステンレス
チタン 等

 

熱溶解積層法

 

熱溶解積層法は個人向けの3Dプリンターの主流の方式です。FDM法とも呼ばれ、1980年後半にストラテシス社が特許を取得しています。2009年に特許の期限が切れたことにより、価格破壊が起こり個人向けの3Dプリンターへの適用が進みました。

 

リール状に巻かれた樹脂をノズルの先端にあるヒーターで「加熱」、「溶融」、「押し出し」によって造形します。

 

 

使用する樹脂はABSやPLAなどの熱を加えると溶ける「熱可塑性樹脂」です。
ABS樹脂はアクリロニトリル(A)ブタジエン(B)スチレン(S)の頭文字の略であり、一般製品で汎用的に利用される樹脂です。強度をもつ樹脂であるため、力が加わるものに使用することができます。

 

造形中に形が崩れないようにサポート材を必要とするケースもあります。サポート材にはPLAやPVA(ポリビニールアルコール)などが使われます。PVAは水に溶ける物質なので造形後の取り外しが容易となります。。

 

 

熱溶解積層法は複数の材料を使うことができるタイプがあり、その場合のノズルは2個や3個となります。
複数のノズルにより、2種類以上の「材質」や「色」を使った造形物の作成や「サポート材」を使った造形物の作成が可能となります。

 

下図のようにノズル先端から樹脂やサポート材を押し出します。ノズルのヒーターにより樹脂を溶かして、1層分の樹脂を押し出します。1層目が造形できると、テーブルが1層分だけ下がります。この距離を「積層ピッチ」といいます。

 

 

 

積層ピッチより細かい形状を作ることはできません。精度を求める場合、積層ピッチが細かい3Dプリンターを使うか、光造形など業務用の3Dプリンターを使います。

 

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