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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


3Dプリンターで使われる材料

3Dプリンターで使うことができる材料が年々進化してきております。

 

現在販売されている家庭用の3Dプリンターで利用できる材料の主流は「ABS樹脂」「PLA樹脂」です。しかし、最近では金属やカーボンなど強度のある材料でプリントできる家庭用3Dプリンターも出てきています。

 

 

このように強度のある材料をプリントできる装置が出てきたことから、一昔前は試作品の製作として利用が多かった3Dプリンターですが、実用品や最終製品として販売される目的で利用されるケースも増えてきています。

 

 

ウォーラーズ・アソシエイツのテリー・ウォーラーズ社長によると、「(米ボーイングと欧州エアバスの航空機大手2社を合わせると)3Dプリンターで印刷された数百個の部品が、すでに航空機に組み込まれて空を飛んでいる」というニュースも流れています。(日本経済新聞より)
10年前では考えられないことであり、今後も益々3Dプリンターの技術は発展していくことでしょう。

 

 

業務用ではこのほかに金属やゴムをはじめとして、砂糖を材料にしてお菓子を作ることができる3Dプリンターやセラミックを印刷できる3Dプリンターまで出てきています。

 


2014DMSにて撮影 (3Dsystemsブースにて)

 

以上のように、3Dプリンターで利用できる材料は日進月歩で進化してきております。ここでは一般的に使われている材料について説明します。

 

家庭用3Dプリンターで使われる材料

 

ABS樹脂

 ABSはアクリロニトリル(Acrylonitrile)・ブタジエン(Butadiene)・スチレン(Styrene)の頭文字をとってABSといいます。表面光沢にすぐれており、また着色することができるためデザインを含む外観部品に適しています。また、比較的強度も高く粘りもあることから力が加わるものにも適用できます。(引張強度40MPa前後)

 

 

PLA樹脂

PLA樹脂は植物由来の成分(トウモロコシ、ビート、イモ類、サトウキビ等)で出来ているため、プリント中は樹脂独特の嫌な臭いを発しません。プリントするときの樹脂温度はABSより低いため高温に弱いです。そのため弾力性がなく固いといった特徴があります。固いためサンドペーパやヤスリ等で表面がけをするのが難しく、塗料もなじみにくいです。材料が固くねばり強いことから大型の造形物を作るのに適していると言われています。

 

 

 

 

業務用3Dプリンターで使われる材料

 

ABSライク樹脂

ABSライクとはエポキシ系の紫外線硬化樹脂です。液体の樹脂に紫外線を当てて硬化する光造形法で使われる樹脂です。強度的にはABSに劣るため力が加わるものには適しません。
色は淡黄色半透明であり、外観はABSに近く微細で綺麗な造形物を作ることができるため、以下の用途で使われることが多いです。

 

用途 : デザインモック/注型マスター/組付け確認

 

 

PP(ポリプロピレン)ライク

PPライクとは、ABSライクと同様にエポキシ系の紫外線硬化樹脂です。液体の樹脂に紫外線を当てて硬化する光造形法で使われる樹脂です。高靭性で衝撃性に優れており、PP(ポリプロピレン)に近い色調や物性を有しています。

 

 用途 : 組付け確認/PP製品の検証/スナップフィットの検証

 

※スナップフィット(snap-fit)とは、金属やプラスチックなどの結合に用いられる機械的接合法の一種で、材料の弾性を利用してはめ込むことにより固定する方式のこと。(wikiより)

 

ゴムライク

光造形法でプリントすることができ、光硬化型のゴムライク樹脂を利用します。ゴムのように柔らかく曲げることができます。ゴム製品の試作品として適した樹脂です。

 

 用途 : ゴム製品の試作品

 

ナイロン(PA・ポリアミド)

ナイロンはPAまたはポリアミドとも呼ばれ、強度、靱性、柔軟性のある樹脂です。表面はすこしざらついた感じとなります。強度があり、耐熱性にも優れるため、実物の試験などにも利用できます。

 

 用途 : 検証/スナップフィットの検証

 

 

石膏パウダー

粉末石膏造形で用いられる樹脂であり、模型やフィギュアの原型などの造形によく利用されます。
フルカラーで色を付けることができるため、デザイン確認などにも利用できますが、強度がないため力が加わるものには適しません。

 

用途 :模型/フィギュア

 

 

シルバーやチタンなどの金属

シルバーはアクセサリーによく使われる金属であり表面には光沢があります。またチタンは軽量で強度が強く耐食性に優れるため、そのような特性を活かせる機械部品にも利用されています。 また、金属アレルギーを引き起こしにくい材質でもあるため、ピアスやネックレスなどのアクセサリーにもよく利用されます。

 

3Dプリンターでシルバーやチタン材を直接プリントできるものもありますが、これまではロストワックス法という精密鋳造法で作成されています。

 

ロストワックス法はワックス素材で造形できる光造形機で3Dプリントしたもので鋳型を作り、溶けた金属を流し込んで造形します。
例えば指輪は次のような工程で作成されます。

 

 

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