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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等

振動

振動とは

物体が一定の時間間隔をおいて、「平衡の状態を中心として繰り返し変動する現象」です。言い換えますと、
一定間隔の間を一定時間で、物体が行ったり来たりすることです。例えば、ばねに「おもり」をつけた後に、引っ張って離すと、「おもり」が上下に振動します。振動はこのように質量をもつ「おもり」と「ばね」からなる系で考えることが多いです。

 

 

振動の発生はねじの緩みを起こしたり、機械性能に影響を及ぼしたり、最悪は機械の破損につながります。機械はこの振動を抑えるためにさまざまな工夫が施されています。例えば自動車では走行時に発生する振動を抑えるために、「ダンパー」「防振ゴム」 などが用いられます。

 

 

振動の種類

聞き慣れない難しい言葉が並ぶと思いますが、こんな種類があるのかとの認識で良いです。

 

・非減衰自由振動 外部から抵抗力の働かない振動
・減衰自由振動 外部から抵抗力が働く振動
・非減衰強制振動 外部から周期的抵抗力の働かない振動
・減衰強制振動 外部から周期的抵抗力の働く振動

 

次にそれぞれについて解説しますが、実設計で必要となることはあまり少ないため概要の理解で十分です。

 

非減衰自由振動
外部から抵抗力の働かない振動を「自由振動」といいます。このタイプの振動の波形は下図に示すように同じ波形が繰り返されます。

 

この系に振動が次第に減少していくような「減衰作用」がない時に、質量mの運動方程式は微分方程式で表されますが、ここでは記述しませんが、解は以下のようになります。

 

 

ここで、kはばね定数 A,θは初期条件により決まります。変位xは時間tに対して周期運動を行います。

 

 

また、このような振動を 「単振動」 または 「調和振動」 と言います。

 

ここで振動数という言葉を聞いたことがあると思います。振動数は、「1秒間にどのくらいの振動を繰り返すのか」 を表します。

 

例えば、1秒間に20回の振動を繰り返す場合の振動数は20です。
また、1秒間の振動数のことを周波数といいます。先ほどの場合の周波数は20Hzです。

 

ここで、Aは振幅、 は円振動数、θは初位相です。
振動数fn、周期T、円振動数の間には以下の関係があります。

 

 

単振動では周期に従って振動数は与えられた系のmとkのみで定まります。

 

減衰自由振動
減衰とは、振動が次第に減少してくことをあらわしています。減衰は減衰力によって発生します。

 

 

減衰力は 「摩擦」 または 「非弾性的抵抗」、「空気抵抗」 及び 「内部摩擦」 などの為、振動のエネルギーが、内部で熱となって費やされたりすることにより生じる運動に抵抗する力です。「粘性減衰」、「構造減衰」 などがあります。

 

例えば、下図のようにばねに固定された台車を動かすと左右に振動を起こしますが、摩擦や空気抵抗などにより次第に減衰していきます。このような振動を「減衰振動」といいます。

 

 

下図に示すように、台車はばねが圧縮されたり、引っ張られたりすることで抵抗しますが、内部にオイルが密封されたダッシュポットの装置が付いている場合、この抵抗力は速度に比例します。

 

 

例えば、液体が入った注射器をイメージして頂くとわかりますが、ピストンをゆっくり動かすと抵抗が少ないですが、早く動かすと抵抗が大きくなります。

 

抵抗力が速度に比例する形式の減衰を 「粘性減衰」といい、その比例定数を粘性減衰係数cと言います。

 

 

ばね定数k、粘性減衰係数cの系の質量mの運動方程式は微分方程式で表すことができますが、ここでは解のみ記述します。

 

解はcの値によって運動が無周期運動 または 減衰振動になります。
この境界のcの値 臨界減衰係数と言います。

 

またβ=c/cc を 粘性減衰比率 と言います。

 

βが1より大きいとき、等しいとき、小さいときにより、3種類の解が得られます。

 

物体mの変位xは、

 

(a)β>(c>cc)1の場合

   となり振動することなくつり合いの位置に近づきます。この状態を 過減衰の状態 と言います。
(b)β=1(c=cc)の場合

 

(c)β<1(c<CC)の場合

 

   となり振幅が時間とともに減少する振動いわゆる減衰振動となります。
   A,Bは任意定数です。

 

非減衰強制振動

 

質量mに、F(t)=F0sinωtの強制力が働く場合の運動方程式は微分方程式で表される。

 

 

その解は  と ω が等しくないとき、以下のようになります。

 

 

 のとき、振幅は無限大となりこの現象を共振と言います。共振については後程詳しく解説します。

 

減衰強制振動

 

質量mに強制力Ftが働き、さらに粘性減衰力の働く物体mの変位xの運動方程式の解は余りに複雑なので省略いたしますが、自由振動は時間とともに減衰力の作用により消滅するのに対し、強制振動は一定振幅の調和振動で、定常振動を続けます。この定常状態になるまでの状態、言い換えますと、自由振動が存在する状態における振動を過渡振動と言います。

 

 

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