トランジスタ
トランジスタの構造・原理
■構造
トランジスタは、信号を増幅したり、スイッチを動作させたりする半導体素子であり、+の性質を持つ「p形半導体」と-の性質を持つ「n形半導体」を3層、組み合わせた構造となります。
また、下図に示すように、p-n-pとn-p-nの2種類の組み合わせ構造があります。トランジスタの素子からは3本の足が出ています。下図の左から、コレクタ(C)・ベース(B)・エミッタ(E)となります。
■回路記号
回路記号はp-n-pとn-p-nのそれぞれの構造で異なります。
・p-n-p形
・n-p-n形
■トランジスタの原理
次に、トランジスタの特性を理解していただくために、トランジスタの原理を先に説明します。まず、下図は「n-p-n形」 を示しております。このトランジスタに2つの電源を接続し、電圧を加えていきます。
電圧を加えると、エミッタ側にある多くの自由電子、これらはp形半導体領域を飛び越え、コレクタ側に移っていきます。このために、p形の領域は非常に薄く作られているのです。 | |
しかしながら、全ての電子がコレクタ側に移動するのではなく、一部の自由電子はp形半導体内の正孔と結合します。 | |
さらに、結合して消滅する自由電子のほかに、ベース側に移動し、そのままベース電流となる電子もいます。 |
以上、n-p-n形のトランジスタ内で起こっている現象からトランジスタの原理を説明いたしました。
トランジスタの特性
トランジスタは、先ほどの原理を利用して、小さな電流を大きな電流にする増幅作用、回路のスイッチなどの特性を持つことができます。
■増幅作用
トランジスタの「増幅作用」とは、電源から供給される電流を何倍にも大きくさせるものではなく、「非常に小さな電流をベースに流すことで、エミッタ・コレクタ間に大きな電流を流すことができる」 とった現象を表します。
ベース電流Ibとコレクタ電流Icとしたとき、その特性は以下のグラフのようになります。なお、グラフの数値はトランジスタの種類によって異なります。
ここで、電流の単位は、横軸 「μA」、縦軸 「mA」となっており、縦軸は横軸の100倍の値を示しております。(Ibが10μAの時、Icは1mA、従って、ibはicの100倍。 μ(マイクロ)は10のマイナス6乗、mは10のマイナス3乗))
また、 Ibと Icは、比例関係となります。(厳密には、グラフは直線にはなりませんが、ここでは説明を割愛)
従って、非常に小さなベース電流Ibをコントロールすると、Ibに対して非常に大きな電流Icを動かすことができるということになります。
ここで注意すべきなのは、冒頭でも説明したとおり、出力電流はコネクタ側に接続されている電源から供給されており、入力電流がそのまま大きくなるわけではないということです。これが、トランジスタの増幅作用と呼ばれるものです。
■スイッチング作用
この特性は、主にデジタル回路で使用されますが、トランジスタの重要な特性として紹介します。
今一度IcとIbの関係性について考えます。増幅作用の説明時に使用したグラフの横軸となるベース電流(Ib)をさらに増加させると、下記のように、コレクタ電流(Ic)は、ある一定値を超えると増加しなくなります。このような状態を「飽和」といいます。
この「飽和」を利用することで、オンとオフの切り替えができる「スイッチ」のような動作を実現することができます。
つまり、
Ibが飽和した値 : Ic (オン)
Ibが0 : Ic=0 (オフ)
といったように、Ibを操作することにより、オン・オフを切り替えることができます。Ibを流すのか、流さないのかでスイッチのような動作を実現することができます。
これがトランジスタのスイッチング作用となります。
トランジスタのスイッチングは、機械式のスイッチと異なり、非常に高速に動作することができ、また寿命も長いという長所があります。また、デジタル回路では、電流が0となる状態を「0」、一定の値となる状態を「1」として使用されます。
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