直流と交流
本カテゴリでは、電気における重要な概念として
1.「直流と交流」という電気の種類
2.「交流の発生原理」
3.「交流で扱う数字」
をご紹介します。
直流と交流とは
電源から供給される電気には、「直流」と「交流」の2種類があります。
研究や設計に使用される電源に、DCまたはACという文字が記載されているのを見た事はあるでしょうか。
DC、ACはそれぞれ、
直流 = Direct Current
交流 = Alternating Current
の略称となっています。本やネット等で調べるときは「直流」、「交流」ですが、電源や家電製品に記載されているのはこの略称の「DC」「AC」の方です。
それでは、直流・交流とは何かを説明していきます。
まず直流とは、「時間が変化してもプラス、マイナスが変わらない電気」と言えます。
電圧の大きさが変わらない、という条件も加わることがあるそうですが、基本的には上記の条件を覚えておけば大丈夫です。
交流は、直流とは逆に「時間の変化とともに、プラス、マイナスが変化する電気」と言えます。
下の図に示すように、プラスとマイナスを行ったり来たりします。
交流の発生原理
交流はどのようにして発生するのでしょうか。交流の発生原理を理解するには、まず「電磁誘導」について理解しなければなりません。
ここに「磁石」、「電線」、「電流計」 があります(下図)。図中に磁気力とありますが、これは磁石がお互い引っ張ったり、反発しあったりする力と考えてください。(基本的に磁石はN極からS極への方向へ磁気力が働いています。)
さて、この電線を動かしてみるとどうなるでしょうか。
なんと電圧(起電力)が発生し、電流が流れます。このような現象が電磁誘導です。
上の図のとおり、発生する電圧には方向が存在します。
この電線の動き(加える力の方向)、磁力の方向、電圧の方向、3つの関係を簡単に示す法則があります。
それが 「フレミングの右手の法則」 です。
フレミングの右手の法則とは、
中指 |
電流 |
---|---|
人差し指 |
磁力 |
親指 |
力 |
という関係を示すものです。
それではいよいよ交流の発生原理について紹介します。
下記に磁石の間にコイルを置いた時の図を示します。
このコイルを回転させると電磁誘導により、電圧が発生します。そして発生する電圧はフレミングの右手の法則によって決定します。
それらを順に追い、電圧との関係性を下記に示すと、
となります。
これが交流の発生原理です。
交流で扱う数字
直流回路においては、基本的に電流・電圧・抵抗を扱います。
しかしながら交流回路ではそのほかに、周波数・インピーダンス・角速度・瞬時値等を扱います。
・周波数
交流は言わば波です。波には周期・周波数の概念があります。
交流での周期とは、コイルの円運動一回(1サイクル)分にかかる時間を言います。そして、周波数とは1秒間に何サイクルあるかを表します。(下図では1秒間に4サイクルしているので、周波数は4Hzです。)
ちなみに、東日本のコンセントから供給される電気は50Hz、西日本では60Hz、というお話を聞いたことはあるでしょうか。実はコンセントから供給される電気は交流で、東と西で違いがあるのです。明治時代、東日本の電力会社はドイツの発電機を使用し、西日本の電力会社はアメリカの発電機を使用したためと言われています。
・インピーダンス
交流における、電気の流れにくさを示します。直流回路における抵抗のようなものと捉えてください。
・弧度法
角度を表す単位と言えば、「°(度)」です。しかし交流を扱う上では、「弧度法」と呼ばれる角度の単位を使います。単位は[rad](ラジアン)です。弧度法は角度を円周の長さで表します。
単位円と呼ばれる半径1mの円があります。この円の円周は円周率をπとすると、2π(直径×円周率)ですね。
この時の円の中心角は360°です。したがって弧度法では360°= 2π[rad] となるのです。
同じ考えで60°はπ/3となります。(下図)
・角速度
交流において角速度とは、「1秒間にコイルが回転する角度」です。
ω(オメガ)で表し、単位は[rad/s]です。角速度は周波数 f を使用して
ω = 2πf
と表されます。
・瞬時値
「交流の発生原理」では、電線が磁石の間を横切ったときに起電力が発生すると紹介しましたが、この時の起電力の大きさは
e = B l v
と表されます。Bは磁束密度[T](磁力の強さのような概念です)、l は磁界を横切る電線の長さ[m]、v は磁界を横切る電線の速さ [m/s] です。
しかしながらこれは、電線が磁石の間を垂直に横切る場合です。もし電線が斜めに横切ったのなら、横切る角度をθとすると
e = Blvsinθ
となります。これは磁石側から見てみると、電線が横切る速度は vsinθとなるためです。
これをそのまま交流の起電力として考える事ができ、それを交流の瞬時値と言います。
以上で直流と交流のお話は終了となります。
交流については紹介しきれない部分があるのですが、必要に応じて紹介していきます。
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