ランナーの種類
ランナーは、 「コールドランナー」と 「ホットランナー」 の2つに大別されます。
コールドランナーは金型内でランナーが冷やされ、成形品と共に取り出されるランナー方式です。
これに対して、ホットランナーはランナーレスとも呼ばれ、スプール・ランナー・ゲートが存在しない特殊な金型構造となります。
なぜ、スプール・ランナー・ゲートが存在しないのかというと、金型のゲートの位置まで金型内で加熱して、プラスチックが固化しないようにしているからです。従って、ホットランナーは材料費が削減されるというメリットがでてきます。
しかし、金型費用が高くなることや金型のメンテナンスが必要になるため、採用する場合はさまざまな観点からの検討が必要となります。
ホットランナー
ランナーの役割
ランナーは成形品までの通路の他に、以下の役割を担っています。
1.成形品への流入速度の制御
2.コールドスラグ(冷えた樹脂)の除去
成形品への流入速度の制御
ランナーの役割は、溶けたプラスチックが持つ圧力を、可能なかぎり失わないように成形品まで流すことです。
しかし、圧力を維持するために必要以上の大きさにすることは、材料費の無駄となります。従って最適なランナーサイズの設計が必要となります。
特に1つの金型で複数の成形品を得る多数個取りの金型では、ランナーの設計が重要となります。
それぞれの成形品に対して、プラスチックの流入が均等になるように設計する必要があります。
均等にプラスチックを流入させるためには、成形品までの距離を同一距離にします。
同一距離にすることで、成形圧力が均等に加わり、成形品間で品質のばらつきが削減できます。
また、3個以上の成形品を1つの金型で作成する場合、対称位置に配列する必要があります。
さらに、形状が不揃いのものを1つの金型で作成する場合、ランナーの太さ等を変えて同時に注入できるように調整したりします。このようにプラスチックが成形品に到達する時間や圧力を調整することを 「ゲートバランス」といいます。
コールドスラグ(冷えた樹脂)の除去
ランナーの末端には、 「コールドスラグウエル」と言うプラスチックの溜まり部を設けます。
この溜部の役割は、金型に最初に入ってきた冷えかかった樹脂を収納するためのものです。
最初に入ってくる樹脂は、成形機のノズル先端に停滞している樹脂であるためノズル内部のプラスチックより冷えた状態となります。この冷えたプラスチックが成形品内に流れると、ウェルドラインなどの成形不良に繋がります。
金型完成後に、ウェルドラインやフローマークといった成形不良がどうしても直らない場合は、
コールドスラグウエルの大きさを大きくすることで解消することもあります。
成形品の設計者は、金型やランナーの設計を行うわけではありませんが、これらの知識は持っておくべきです。
設計した部品の良品を作ることができなければ、次の設計工程へ進めないことがあります。成形不良が発生した場合、迅速な対応が必要です。知識があれば、類似製品のゲートサイズやバランスなどを比較確認してみて、問題が発生しそうであれば金型業者へ指摘できます。そうすることで、未然に成形不良を防ぐことも可能となります。
プラスチック・金型・成形の知識から「設計手法」までワンストップで習得する
樹脂部品設計入門講座(Eラーニング)はこちらから
独自開発されたMONO塾の「ステップ式学習プログラム」<法人採用実績:600社以上>
カテゴリーメニュー
スポンサード リンク