ポリプロピレン樹脂(PP)の物性・用途・特性
ポリプロピレン(PP)の名称
ポリプロピレンは、熱を加えるとやわらかくなる「熱可塑性樹脂」に分類される樹脂です。
一般的には、ポリプロピレンより「PP(ぴーぴー)」と呼ぶことが多いでしょう。
- 分類:熱可塑性樹脂
- 名称:ポリプロピレン
- JIS記号:PP
- 英語名:polypropylene
- 呼び方:通常は、ポリプロピレンよりPPと呼ぶことが多い
- 結晶性/非晶性:ポリプロピレンは結晶性樹脂 → 結晶化度:40〜70%
ポリプロピレンとは
ポリエチレンと並んで最もよく使用されているプラスチックです。身近なものとして、クローゼットに入れる「ポリプロピレンケース」や食材を入れる「タッパーウェア」などがあります。
ポリプロピレンは、製造コストが安い、耐熱性が比較的高い、密度が0.90〜0.91と比較的低く、軽いといった特長があります。また、繰り返しの折り曲げに強くて疲労破壊しないため、「ヒンジ」として良く使われます。
一方、ー5℃以下の低温で、もろくて壊れやすくなります。そのためエチレンなどのモノマーを共重合したグレードなど改良されたものがあります。また、耐候性も劣るため、顔料や紫外線吸収剤によって改良されたものもあります。
ポリプロピレンの長所
- 強度、耐摩耗性など機械的特性に優れる
- 繰り返しの曲げ(ヒンジ)に強い
- 比重が0.9とプラスチックの中で最も軽い
- 耐薬品性に優れる
- 耐熱性に優れる
ポリプロピレンの短所
- 低温でもろく壊れやすい
- 接着性や印刷性が悪い
- 銅および銅合金と接触した状態で高温になると劣化する
- 耐候性は劣る(屋外使用の場合、日光によって劣化)
ポリプロピレンの種類
ポリプロピレンの種類には、
・ホモポリマー
・ブロックコポリマー
・ランダムコポリマー
があります。
ホモポリマーは、プロピレンのみを重合したものです。剛性、耐熱性、耐薬品性等に優れています。ブロックコポリマーは、ホモポリマーの中にゴム相で覆われたポリエチレンが分散して入った構造をとります。透明性はありませんが、ホモポリマーの耐寒性、耐衝撃性等を改良したものです。ランダムコポリマーは、ホモポリマーの透明性、耐衝撃性等を改良したものです。
ポリプロピレンの物理的特性
ポリプロピレンは、プラスチックの中で最も軽い樹脂です。鉄と比較すると約1/8の軽さです。比重が1より小さいため水に浮きます。また、吸水率が低く成形前の乾燥が不要です。
酸素指数は18程度であり、燃えやすい特性があります。
- 比重:0.90〜0.91
- 密度:0.90〜0.91 g/cm3
- 吸水率(%): 0.01未満
- 燃焼性(UL94) :HB
- 燃焼性(酸素指数) :18
機械的特性
ポリプロピレンは、結晶性樹脂で、比較的やわらかい印象のあるプラスチックです。
そのため、高い強度を必要とする機械部品ではあまり使われていませんが、ガラス繊維などで強化したものは機械部品でも使われています。また、曲げたり変形させたりできるため、「ヒンジ」の構造を持つ製品で使われます。
材料の種類には非常に多くのグレードが存在しています。グレードによって強度に幅がありますが、一般的なグレードにおける引張強度は、30MPa程度です。また、そのほかの機械的特性は以下の表を参照ください。
最小値 |
最大値 |
平均値 |
標準偏差 |
|
---|---|---|---|---|
引張降伏応力 (MPa) | 26 |
41 |
- |
- |
引張破壊応力 (MPa) | - |
- |
- |
- |
引張弾性率(ヤング率) (MPa) | 600 |
2200 |
1313 |
336 |
ポアソン比 | - |
- |
- |
- |
曲げ強度 (MPa) | 25 |
47 |
31.9 |
6.4 |
曲げ弾性率 (MPa) | 650 |
2300 |
1291 |
356 |
圧縮永久歪(%) | - |
- |
- |
- |
シャルピー衝撃強度(kJ/m2) | 1 |
66 |
7.8 |
7.4 |
アイゾット衝撃強度(kJ/m2) | - |
- |
- |
- |
表面硬度 | 62 |
110 |
89.1 |
11.2 |
熱的特性
ポリプロピレンは熱に強い樹脂です。ポリプロピレン製の耐熱容器は熱に強いため、電子レンジに対応しています。小さな荷重が加わる場合でも、製品の構造によりますが、100℃近い温度で連続して使うことができます。例えば、市販されているポリプロピレン製のパイプは、0.2MPaの圧力で耐熱温度は90℃です。
最小値 |
最大値 |
平均値 |
標準偏差 |
|
---|---|---|---|---|
ビカット軟化温度 (℃) | 110 |
140 |
119.2 |
10.5 |
荷重たわみ温度 (℃) | 65 |
125 |
93.1 |
14.4 |
線膨張係数:流動(×10-5/℃) | - |
- |
- |
- |
線膨張係数:直角(×10-5/℃) | - |
- |
- |
- |
成形性
ポリプロピレンの成形方法は、射出成型、押し出し成形、ブロー成形などが適用できます。
ポリプロピレンの成形温度(シリンダー温度)は200から300℃、金型温度は、40から60℃で、樹脂の流動性はよく成形性に優れています。また、結晶性樹脂であるためポリスチレンなどの非晶性樹脂と比較して、成形収縮率が大きいといった特徴があります。
最小値 |
最大値 |
平均値 |
標準偏差 |
|
---|---|---|---|---|
成形収縮率 % | 1 |
1.8 |
- |
- |
MFR | 0.4 |
100 |
- |
- |
MVR | - |
- |
- |
- |
[出典]
「PlaBase」:https://plabase.com
ポリプロピレン製造メーカー
ポリプロピレン(ペレット)を製造しているメーカーは、2017年現在4社です。
- プライムポリマー(最大手)→ 商品名:プライムポリプロ
- 日本ポリプロ → 商品名:ノバテックPP
- サンアロマー
- 住友化学
ポリプロピレンの価格
汎用樹脂に分類されるポリプロピレンは、低価格です。
価格は変動しますが、kgあたり200円前後を推移しています。
ポリプロピレンの用途
ポリプロピレンは非常に広範囲に利用されています。自動車のバンパーを始め、家電製品の筐体、おもちゃ、日用品、雑貨など日常生活のありとあらゆる場面でよく見かけます。
自動車のバンパーや内装、フィルム、コンテナ、洗濯槽、台所や浴室用品、衣類収納、注射器、文具など
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