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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


材料(ヤング率とポアソン比)の準備

解析に必要な材料特性について説明します。

 

必要な材料特性は解析対象によって異なりますが、応力、振動、熱の解析の場合、下記の材料特性が必要となります。

 

・縦弾性係数(ヤング率)
・ポアソン比
・密度
・熱膨張係数
・熱伝導率
・比熱

 

そして応力解析で必要なのは上記のうち、縦弾性係数(ヤング率ともいう)とポアソン比です。

 

縦弾性係数(ヤング率)

 

縦弾性係数 (ヤング率と呼ぶケースが多いためヤング率で説明) とは、物体を引っ張ったときの「応力」と「歪(ひずみ)」の関係です。
(※歪とは元の長さに対する変形量の割合のこと。詳細はこちらを参照)

 

例えば、軟鋼の「応力」と「歪」の関係は下図のようになります。

 

 

「歪」 が小さい範囲では、物体を引っ張ると「応力」と「歪」は比例関係になります。比例関係にある範囲を「弾性範囲」といいます。

 

<解説>

弾性範囲における材料の変形は微小です。設計者がはじめにマスターしなければならない解析は、弾性範囲における「線形解析」です。これに対して、材料の応力と歪が比例関係にない範囲の解析を「非線型解析」といいます。

 

従って、ヤング率は弾性範囲における比例定数となります。
つまり、弾性範囲のグラフの傾きがヤング率です。

 

 

ゆえに、ヤング率の値によって、以下のことがいえます。

ヤング率の値が大きい → 変形しにくい材料
ヤング率の値が小さい → 変形しやすい材料

 

例えば、鉄は少しの変形量(歪)で高い応力が発生するが、ゴムは少しの変形量(歪)では殆ど応力が発生しません。

 

ポアソン比

 

ポアソン比は、引張方向に垂直なひずみと引張方向のひずみの比のことです。
ポアソン比 Υ = 横ひずみ / 縦ひずみ

 

詳しくはこちらを参照下さい。

 

材料によって伸び方が異なります。したがって、材料別にポアソン比も異なります。

 

ヤング率とポアソン比の一覧

 

ヤング率やポアソン比は材料固有で値を持ちます。
以下に代表的な材料のヤング率とポアソン比の一覧を示します。

 

材料名

ヤング率(GPa)

ポアソン比

圧延鋼

205

0.3

ステンレス(sus304)

197

0.3

鋳鉄

152

0.27

黄銅(C3604)

98

0.33

アルミニウム

69

0.3

 

ヤング率の単位

 

ヤング率の単位には、PaやN/m2が用いられます。

 

<単位換算>
1Pa=1N/m2 
1MPa=1N/mm2 
1GPa=1000MPa=1000N/mm2

 

会社で利用する主な材料は、リストにしておきます。多くの場合は、同じ材料が使われます。
また、解析ソフトでは、あらかじめ材料の設定を保存できるようになっています。材料データを共有して誰もが同じ材料で解析できる環境を整えておくと良いでしょう。

 

 


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