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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


3Dモデルの表現方法(ソリッド/サーフェス)

3Dモデルの表現方法には、「ワイヤーフレーム」「サーフェス」「ソリッド」の3つがあります。
これらの違いは立体をコンピューターで表現するための方法の違いです。以下の形状の場合、表示上は全く同じに見えますが左右で異なります。

 

 

 

中央部で切断した形状が以下となります。左は内部が詰まっているのに対し、右は内部が空洞です。

 

 

このように内部が詰まっているものを、「ソリッド」
内部が空洞であり、面の集合からなるものを、「サーフェス」
そして、内部や面が無く境界線のみを「ワイヤーフレーム」といいます。

 

 

 

1970年から1980年代のCADは、ワイヤーフレームやサーフェスで形状を表現するタイプのものでした。これはソリッドを表現するための処理能力のあるパソコンが無かったことが理由の一つです。

 

1990年代に入った頃にWindows NTが発売されます。パソコンの性能の向上に伴い、急速にソリッドタイプの3D-CADが普及することになります。現在、販売されている3D-CADの多くが「ソリッドモデル」 のタイプとなります。

 

但し、サーフェスは機能としての利点が多いため、現在の主流は「サーフェス」と「ソリッド」の両者の機能を合わせ持つものとなっています。

 

 

それそれの特徴を以下にまとめます。

 

ワイヤーフレームモデル

 

立体形状を 頂点 と 線 によって表現したモデルです。
針金で作った形状をイメージして頂ければ良いと思います。

 

 

現在、この方式のみで3D形状を作るCADは殆どありませんが、
形状を作成する過程でワイヤーフレームを用いることは多々あります。

 

 

例えば、下図のような曲がったパイプを設計する場合、パイプの中心軸となる軌道が設計の要素として必要です。このような場合、はじめに軌道をワイヤーフレームで作成し、その軌道にそって肉付けします。

 

 

また、設計の初期段階では、詳細な形状よりも基本的な構造を決めることが主となります。このような場合にワイヤーフレームで検討します。

 

 

ワイヤーフレームは、データ量が少ないため表示速度に優れます。
表示速度に優れるため、ソリッド形状をワイヤーフレームの表示にして作業を進めることもあります。

 

サーフェスモデル

 

ワイヤーフレームモデルに面情報を加えたものが「サーフェスモデル」です。中身のない中空のダンボールをイメージして頂ければ良いです。

 

 

サーフェスモデルは、複雑な形状を作るのに向いている機能です。
例えば、家電製品の意匠面(デザイン面)、自動車のボディーなど複数の面から構成される形状を作成するために、有効な機能です。

 

 

サーフェスはソリッドのように中身を持たないため、体積を求めることができません。
また、部品間の干渉チェックを行うこともできません。

 

 

従って、部品を作成する過程で利用されるケースが多く、最終的にはサーフェスを閉じた空間に変更して、ソリッドに変換して利用されることが多いです。

 

 

サーフェスは面が存在するため、面の表示を色々と選択できます。

 

ソリッドモデル

 

ソリッドモデルはサーフェスモデルの中身が詰まったモデルです。中身が詰まっているので、体積、重心、重量等の幾何情報の計算が可能です。

 

 

現在、販売されている機械用CADの多くが、「ソリッドモデル」のタイプとなります。ソリッドは、直方体や円柱などの単純な形状を作るのに適している機能です。単純な形状なため、操作はサーフェスと比較して容易であることが特徴です。

 

3D-CADの操作を習得する場合、ソリッド機能から学んでいくのが良いでしょう。

 

サーフェスとソリッドの使い分け

 

実際の設計では、「ソリッド」や「サーフェス」の特徴を理解して、上手に使い分ける必要が有ります。

 

一般的には、家電の筐体や自動車のボディーなどの複数の面の集合となるデザイン面は「サーフェス」で作成します。また、流体が流れる製品(バルブ、ポンプ、タービン、自動車のマニホールド等)は、自由曲面が多くサーフェスで作成するのに適した形状です。

 

サーフェスを駆使した3D形状を作るのは難易度が高く、操作に熟練度を必要とします。

 

<サーフェス機能を使うケース>

 

・家電の筐体、自動車のボディー等のデザイン面
・流体が流れる製品(バルブ、ポンプ、タービン、自動車のマニホールド等)のように曲面が多いもの

 

サーフェスで作成したモデルであっても、最終的にはソリッドに変換します。ソリッドへの変換には以下の3つの方法があります。(※CADによって出来ることが異なります)

 

1.サーフェスに厚みを持たせる
2.サーフェスでソリッドを削る
3.サーフェスを閉じた空間にする

 

1.サーフェスに厚みを持たせる

 

図に示すように、作成したサーフェスに厚みの情報を付加することでソリッドタイプに変更します。自動車のボディー等、一定の厚みの製品などに適用できます。

 

 

 

2.サーフェスでソリッドを削る

 

直方体等の単純なソリッド形状を作成し、サーフェスでソリッドを削ってソリッドに変更します。

 

 

 

3.サーフェスを閉じた空間にする

 

複数のサーフェスで閉じた空間を作ります。ダンボールに蓋をするイメージです。
3D-CADは完全に閉じた空間をソリッドに変換する機能を持っています。

 

 

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