モデリング精度(トレランス)
モデリング精度(トレランス)とは、点や線などの座標値の精度のことです。
3DCADのモデルは、コンピューターでさまざまな計算処理を行い作成されます。計算処理の結果、小数点が発生した場合、有効桁数内におさめる必要があります。(例 10÷3=3.333・・・)
このためどうしても誤差が発生します。この誤差を許す範囲がモデリング精度となります。例えば、モデリング精度 0.1 のCAD場合、ある線上に作成された点が0.1mm以内であれば一致しているとみなします。
モデリング精度は、以下の2種類があります。
1.絶対精度
モデルサイズに関係なく、認識できる最小距離が固定
2.相対精度
モデルサイズに応じて、認識できる最小距離が変化
・絶対精度 0.01
最小認識距離=絶対精度値=0.01mm
・相対精度0.0012の場合
最小認識距離=モデルサイズ×相対精度値/12 =0.05mm
モデリング精度は小さい方が良いのか?
モデリング精度を小さくすると、最小認識距離が小さくなるというメリットがある反面、モデルの計算処理時間が長くなります。特に問題がない場合は、CADが推奨する設定値を使用するようにします。
モデリング精度の違いによる問題点
モデリング精度は、異なる種類のCADでデータを交換する際に、しばしば問題となります。例えば、SolidWorksとCreoという、2つの3DCADのモデリング精度は次のように異なっています。
・SolidWorks 絶対精度 = 0.00001mm
・Creo 相対精度 = 0.0012mm
SolidWorksで作ったデータを変換して、Creoに読み込ませると、モデリング精度の違いにより、形状が成立しない箇所がでてきます。サーフェスのつなぎ目がはがれたり、サーフェスが抜け落ちたりします。
この問題を回避する1つの方法が、モデリング精度を合わせることです。モデリング精度を合わせることで、形状エラーを最小限にすることが可能となります。
但し、モデル作成が完了した後のモデリング精度変更は、避けた方が良いでしょう。なぜなら、精度変更により形状が成立しない部分が出てくるからです。
主な3DCADの精度
3DCAD名 | 相対精度/絶対精度 | 精度 |
---|---|---|
CATIA | 絶対精度 | 0.1 |
Creo | 相対精度(絶対精度に変更可能 推奨値 0.01) | 0.0012 |
Solidworks | 絶対精度(隙間などが生じた際に精度を緩めるトレラントモデリング) | 0.00001 |
I-DEAS | 絶対精度 | 0.01 |
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