モデリング方式(ヒストリー/ノンヒストリー)
3D-CADのモデリング方式には、大きく2つ存在します。
(3D-CADで3D形状を作成することを「モデリング」といいます。)
・ヒストリータイプのCAD
・ノンヒストリータイプのCAD
※ヒストリーとは「履歴」の事です。
ヒストリータイプのCADは形状を作成した履歴が残るCADです。図のように、単位形状の積み重ねで目的の形状を作ります。積み木を足したり、引いたりするイメージです。作った形状は、 ツリーに作成履歴が残ります。
ヒストリーCADでモデルの形状や位置などを変更する場合は、寸法や変数を変更します。例えば、フランジの穴数が4個から8個になる場合、穴数を変えるだけで修正が可能となります。
一方、ノンヒストリーCADは履歴を持たないため、穴を埋めてから空けなおす作業が発生します。ちょうど粘土細工で切り貼りするようなイメージです。
両者の修正時間を比較すると、圧倒的にヒストリーCADの方が少ないことは明らかです。
ヒストリーCADとノンヒストリーCADの比較
ヒストリーCADとノンヒストリーCADにおいて、一概にどちらが良いといった優劣をつけることができません。対象となるものによって異なります。
一般的には、目的となる形状が明確であり、それを立体化する場合はノンヒストリーCADの方が良いでしょう。
例えば、寸法を必要としない製品、デザイン面が主体となるような製品、変更が発生しないボルトやナットなどの標準的に使われる部品です。このような場合はノンヒストリーCADで十分です。
一方、設計過程で寸法や形状の変更が頻繁に発生する機械製品ではヒストリーCADの方が良いでしょう。 なぜなら、履歴に設計意図を残すことができるからです。設計の見直しが発生した場合、設計意図を再確認(断面や寸法情報)して、修正を行うことが可能です。
また、ヒストリーCADでは修正する手間が少ないといったメリットもあります。先ほどのフランジ穴の例のように数値変更のみで形状をコントロールできます。
但し、形状作成時に前もって修正を考慮した作り方にしておく必要があります。修正を事前に考慮する場合、以下の2つのポイントをおさます。
(作成基準、作成順序、寸法の入れ方など)
2.CADの特性を理解した作り方にする
(親子関係など)
この2つのポイントを外した作り方をすると、ノンヒストリーCADより修正に時間がかかることになります。最悪の場合、モデルが崩れて作り直しが発生することになります。(これらのポイントについては、次頁以降で詳しく解説致します。)
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