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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等



引張強度と許容応力と安全率

引張強度

 

引張強度は、設計者が機械や工業製品を設計する上で、考慮しなければならない機械的特性の一つです。

 

使用する部品には、最大どのくらいの荷重がかかるのか想定し、その荷重で破損しない材料を選択する必要があります。材料が破損しない目安となる機械的特性が引張強度です。

 

引張強度について、軟鋼の「応力−歪線図」を使って解説していきます。

 

下図は、軟鋼の試験片を上下方向に引っ張ったときの応力と歪の関係図を示します。描かれる線は材料によって異なり、その材料の機械的特性を表します。

 

 

材料に力を加えていくと、上下方向に伸びて変形し最後は破断します。

 

材料は図の2番目の黒丸の位置である「弾性限度」までは、加えた荷重を止めると、材料が伸びていても元の長さにちゃんと戻ります。しかし、弾性限度を超えた場合は、元に戻ることができません。従って、設計する場合は、この弾性限度内に収まる歪量となるように設計します。

 

そして、さらに荷重を加えていくと、降伏点に達します。
降伏点に達したあとは、材料に亀裂が入り、一旦荷重が抜けます。そして、下降伏点に至ります。

 

その後、さらに荷重がかかり最大の応力を迎えます。
最大の応力がかかった状態を 「引張強度」 といいます。
従って、引張強度はその材料が持つ、限界の強度となります。

 

 

下記に主な材料の引張強度を示します。

 

表.主な材料の引張強度 単位:N/mm2

 

材料名 引張強度
炭素鋼(軟鋼) SS400 400
炭素鋼(硬鋼) S55C 749
ステンレス鋼 SUS304 520
純アルミ A1050 80
純チタン TP270 270
ポロプロピレン PP 29 〜38
ポリスチレン PS 34.3 〜61.7
ポリ塩化ビニル 硬質PVC 34.3 〜61.7
スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル ABS 16.6 〜61.7

 

許容応力と安全率

 

設計する上で必ず理解しておかなければならないのが、許容応力と安全率です。

 

一言で説明すると、「物を安全に使用するための考え方」です。安全率を大きく設定すればするほど、一般的に物は壊れにくくなります。

 

例えば、下図のように100kgの荷物をロープで釣り上げるとき、断面積が1cm2のロープより、断面積が10cm2のロープの方が切れにくいです。

 

 

ロープの断面積を徐々に小さくして、ちょうど1cm2より小さくなったときにロープが切れた場合、ロープ1cm2の安全率は1となります。

 

安全率1の設計では、ちょっとした外部要因でロープが切れてしまいますので非常に危険な設計です。ロープを安全に使うためには、安全率を確保する必要があります。安全率は大きければ大きいほど、安全に使うことができます。

 

但し、安全率を大きくし過ぎると、材料費が高くなります。設計はできるだけ少ない材料費で、壊れにくいものを作る必要があります。では、どのくらいの安全率に設定するのが良いのでしょうか?

 

安全率は下表に示すとおり、材料や使用目的別に目安があります。

 

安全率の例

 

材料

静荷重

繰り返し荷重(片振)

繰り返し荷重(両振)

衝撃荷重

鋳鉄

4

6

10

15

軟鋼

3

5

8

12

鋳鋼

3

6

8

15

5

6

9

15

木材

7

10

15

20

 

これらの目安を参考にして、過去の実績や経験的な観点から安全率を設定します。

 

安全率を設定するときは、荷重の種類によって変える必要があります。

 

一定の荷重より、繰り返しの動的な荷重の方が安全率を大きくする必要があります。また衝撃の荷重がかかる場合は、さらに安全率を大きくします。

 

さらに材料にはバラツキがありますので、バラツキの大きな材料を使う時は、安全率に少し余裕を持たせる必要もでてきます。一般的に工業製品や機械の場合は、過去の実績や社内規定などを基準に安全率が決定されます。

 

安全率は下記の式で求めることができます。

 

安全率 = 基準強さ/許容応力

 

基準強さとはその材料の破損の限界を表す応力で「引張強度」や「降伏強度」などを用います。許容応力とは、許容できる応力、つまり、使用する際にかけても良い応力の最大値のことです。

 

軟鋼を例として、応力ー歪線図でこれを説明すると、下図のようになります。

 

 

例えば、SS400(軟鋼)という金属材料の引張強度は 400 N/mm2 です。
安全率を 4 としたとき、の許容応力を求めます。

 

軟鋼の許容応力=基準強さ÷安全率=400/4 =100 N/mm2  となります。

 

尚、最近では軟鋼などのように降伏する材料の場合、基準強さを引張強度ではなく、降伏強度にすることが一般的になっているようです。

 


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