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SI単位系
材料力学を理解するためには、単位について知る必要があります。
私達が日常に良く使う単位として、メートル・キロ・秒などがあります。単位には、さまざまなものが存在しますが、機械設計では 「工学単位系」 と 「SI単位系」 の2つの単位系についての理解が必要です。
単位系の「系」とは関連をなすもので、日本では、長い間 「工学単位系」 が使われていました。1992年に計量法改正があり、日本でも順次、国際単位系であるSI単位系に移行されています。
実際の設計現場では、この2つの単位系が混合され使われることが多いので、その違いをしっかりと理解しておきましょう。
以下に工学単位系とSI単位系の比較表を示します。右のSI単位系が標準的に使われている単位系です。
工学単位系 |
SI単位系 |
|
---|---|---|
質量 | kgf・s2/m | kg |
重量 | kgf | − |
力 | kgf | N |
圧力 | kgf/m2 | Pa |
密度 | kgf・s2/m4 | kg/m3 |
モーメント | kgf・m | N・m |
質量と重量と力の違い
材料力学において、物体が受ける力を計算する際には「重量」を使い、物体の運動を計算する際には「質量」を使います。ですので、正しい計算を行うためには、この2つの違いを理解することが不可欠です。
もしも質量と重量を混同してしまうと、計算結果に誤りが生じてしまうことになります。したがって、材料力学の計算においては、質量と重量を正しく使い分けることが重要なのです。
質量は物質そのものが保有する量のことです。
砂糖 1g 、水 1kg など物質そのものが保有する量のことを質量といいます。
重量は物質に働く重力の大きさのことです。
地球には重力(引力)が働いています。月にも引力が働いていますが、地球の1/6の力です。
従って、
・地球上では
水1kg の質量は 1kg 、 重量は 1kgf
・月では
水1kg の質量は 1kg 、 重量は 1/6kgf
質量は物質そのものが保有する量なので、地球でも月でも同じ値ですが、
重量は、その物質にはたらく重力の大きさですので地球で60kgfの体重の人は月では10kgfになるのです。
力の単位
次に設計でよく使われる力の単位はkgf(キログラム重)とN(ニュートン)です。この2つの単位はよく使いますので必ず理解しておきましょう。
近年の設計ではしばしばN(ニュートン)が力の単位として使われます。N(ニュートン)という単位は日常的にあまり使うことがありませんので、例えば、「この機械には1000N(ニュートン)の力がかかります」と言われてもその大きさが直感的に理解できないかもしれません。
そのようなときに、Nからkgfへの単位を換算して考えます。単位換算する場合は、
「1kgf=9.8N」
です。
つまり、1000Nの場合、約100kgfとなります。簡易的には1000Nのゼロを1つ削除して考えます。
以上、このページでは、材料力学で使用される単位について簡単に触れてきました。
実際の設計現場では、単位の違いによる計算ミスが非常に多く発生しています。単位は、材料力学に限らず設計において非常に重要な知識です。また、単位系が異なる場合は必要に応じて単位換算が必要となります。
先ほどは kgf と N の単位換算の方法を紹介しましたが、他にもさまざまな単位があります。設計者として活躍するためには、これらの単位の理解は最低限必要な工学知識です。
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