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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等

粘度と動粘度

粘度

 

流体には、空気、水、油、塗料などさまざまな種類があり、私たちは、その粘り気のことを、「さらさら」や「どろどろ」といった表現をします。これらを定量的に表現したものが「粘度」です。

 

例えば、粘り気のある水あめなどをかき混ぜる際、水をかき混ぜるより力が必要となります。この粘性の強さを表すための物性値が「粘度」となります。

 

 

 

この粘性を利用した機械として、自動車のトルクコンバーター(流体クラッチ)があります。エンジンの回転をオイルの粘性を利用して、トランスミッションに回転を伝達します。

 

 

粘度は粘性係数とも呼ばれています。
粘度は平行な2枚の平板間を流体で満たし、一方の平板だけを動かす際に必要な力の大きさから定義することができます。平板の速度が小さい場合は、固定された平板の近くの流体の速度は0になり、移動する平板の近くの流体の速度は、平板の速度と同じになります。したがって、流体の速度分布は直線的となります。このような流れのことを「クエット流れ」と呼びます。

 

 

クエット流れにおいて、平板に加える力をF、1つの平板の面積をAとすると,せん断応力はτ=F/Aで表すことができます。このせん断応力は、多くの流体において平板の速度を平板の間隔で除したものに比例することが実験的に分かっています。つまり,平板を動かす速度をU、平行な2枚の平板の間隔をHとすると、

 

 

となります。
ここで,比例定数μを粘度といいます。単位は[Pa・s]であり、流体の種類、温度、圧力によって決定することが出来る物性値です。
しかし、一般的には物体表面付近の流れの速度分布は直線的とは限りません。下図のように微小領域では、流れの早い流体と流れの遅い流体の間にはせん断応力が働きます。そして、流体に働くせん断応力は、速度こう配du/dyに比例して、次式によって求めることになります。

 

 

ここで,uは流れの速さ,yは流れに垂直な座標,du/dyは速度こう配となります。速度こう配は流体の変形の速さに関する値であり、ニュートンの粘性法則と呼ばれています。

 

 

 

粘度と温度の関係

 

液体の粘度は、温度によって変化します。温度が低い「とどろどろ」になりますが、温度が高いと「さらさら」になります。これは分子間の引き合う力が小さくなるためです。下図は水の温度別の粘度です。

 

 

一方、
気体の粘度は、温度が上昇すると大きくなり、液体と反対の特性を示します。下図は空気の温度別の粘度です。

 

 

動粘度

 

先ほど解説しました粘度μは、流体中の物体の動きにくさを表すものです。一方、動粘度νは、流体そのものの動きにくさを表すものです。この動きにくさに影響を及ぼすものが、物体の密度です。同じ粘度であっても密度が異なると、動きにくさは異なってきます。

 

動粘度νは粘度を密度で割ることで得られます。

 

 

動粘度の単位は[m2/s]

 

粘度と動粘度の違いを水と空気で比較してみましょう。
粘度は水の方が大きいですが、一方、動粘度は空気のほうが大きいです。つまり、空気のほうが軽くて動きやすく伝わりやすい、水のほうが重くて動きにくく伝わりにくいことを表しています。

 

粘度

密度

動粘度

水 20℃

1.004×10-3Pa・S

998.22

1.004×10-6m2/S

空気 20℃

1.822×10-5Pa・S

1.205

15.12×10-6m2/S

 

 

水の密度、粘度、動粘度

 

温度 【℃】

密度 【kg/m3

粘度 【10-3Pa・s】

動粘度 【10-6m2/s】

0

999.89

1.792

1.792

10

999.70

1.307

1.307

20

998.22

1.004

1.004

30

995.65

0.797

0.801

40

992.21

0.653

0.658

50

988.05

0.548

0.554

100

958.35

0.282

0.295

 

 

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