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機械設計エンジニアの基礎知識 | 設計・3DCAD・製図・金型等


生産設計

 

設計の主目標

 

生産性は、多くの場合、図面の段階で決定してしまうと考えられています。ある製品の材質、寸法、形状、仕上げ粗さなどは図面で決定します。すると、使用できる工作機械や加工手段も決まってしまうのです。

 

そのため、設計は生産を左右する重要なものであり、図面が適当であると、それが会社にとって大きな損失をもたらすだけではなく、その品物の性能も左右し、納期にも影響を及ぼすものとなります。そのため、設計が満足すべき重要な項目として、以下の3つが挙げられます。

 

 

性能

 

求められる仕様に基づいた性能を十分に発揮させるための設計が必要であることは言うまでもありません。性能が満たされていなければ、その製品は受け入れられません。

 

コスト

 

先に述べた性能を満たすために、コストを費やしすぎることは社会には受け入れられません。つまり、性能とコストはバランスを保つ必要があるといえます。

 

納期

 

性能がよく、コストを押えたとしても、納期が非常にかかったり、製品化までに時間がかかるものは、他社に市場を押えられてしまう可能性もあります。

 

また、契約によっては納期が遅れることでペナルティが発生する場合もあり、会社には損害が生じてしまいます。そのため、製造の決定から、製品が完成品となるまでのリードタイムを出来るだけ短くしなければ、他社との競争を勝ち抜くことはできません。さらに、出図までの時間も掛けすぎないように注意が必要です。

 

以上を設計の主目標と呼んでいます。次に、生産設計において大切な項目について説明していきます。

 

 

生産設計における大切な項目

 

部品の形状

 

機械部品の形状は、少なくとも一つの機械だけで加工可能である、「単純な形状」であることが望ましいのです。

 

一つの機械だけで加工が完了することは、生産性が上がり、コストを下げることができます。さらに、一連の加工が工作物の1回のだんどりで全て行うことが望ましいのです。

 

加工の種類が異なると、その都度段取換えが必要となり、生産性が落ちてしまい、加工精度も出にくくなってしまいます。

 

つまり、生産設計においては、同一機械で、同一段取りで加工できることが原則なのです。
また、加工においては工具の種類が出来るだけ少なくなるような部品形状にすることも重要です。

 

精度と仕上げ面粗さ

 

精度には寸法精度と形状精度があります。

 

[1] 寸法精度

 

加工された製品または部品の寸法の正確さと精密さを示します。図面で指示された寸法が許される範囲を「公差」といいます。

 

[2] 形状精度

 

機械部品や組み立てられた機械の形状の正確さと精密さをいいます。「幾何公差」で規定します。

 

精度と粗さが向上すると、機械部品の接触面積は増えるため、負荷能力が増大します。さらに、耐摩耗性の向上、振動減少、機械効率の向上、疲れ強さの向上など多くのメリットがあるのです。

 

加工に関して、精度、粗さに対する要求が高ければ困難を伴う場合がありますが、これは所有している機械設備の性能によって左右されます。そのため、生産現場では、所有している機械設備の性能を把握し、設計者に伝えておかなければなりません。

 

 

標準部品

 

ねじやボルトなどの標準部品は、既存の設計によりその部品製造に最も適した設備で作られた部品でしかも合理的な時間内に入手できるものと定義されます。

 

つまり,その形状,寸法精度,仕上面粗さを実現するために,最も適した設備によって製造されたものであるから、他の設備で作るよりも非常に安く、性能も信頼性も高いのです。標準部品は、少量生産品であっても、在庫品がなくても良く、その部品が合理的な時間内に最適な設備で製造されるものであれば良いのです。

 

つまり,その部品を作るのに適した設備を持たないところでは,その部品を作るべきではなく,それは最も適した設備を持つところで作られたものを購入して使用するべきだということなのです。

 

標準部品を使用することで、既存の設計を用いるため、図面作成の必要もなくなり、設計時間が削減できます。性能上問題がなければ、標準部品を積極的に用いるのです。

 

例えば図(a)に示した部品は新たに一から作るのではなく,図(b)に示した標準部品の一部分を加工して用いるべきであるということなのです。

 

 

 

加工しやすい材料

 

材料の加工のしやすさは、機械や工具が使用できる範囲である「システムレンジ」によって左右されるため、使用される機械や入手可能な工具のシステムレンジにあった材料を選ぶ必要があります。

 

つまり、設計を行う際、機械や工具に合った材料を選ぶことが生産設計の観点からは望ましいのです。

 

ここで、加工しやすい材料とは、被削性がよい材料を指します。被削性がよい材料とは、「加工抵抗が小さく」、「同じ工具寿命で高い加工速度が適用でき」、「切りくずの処理がしやすい」 材料のことです。

 

代表的な材料 被削性がよい(削りやすさ)
S45C SS400 SCM435
鉄(工具鋼) SK6,SKD61
アルミ A2011 A5056
銅合金 C3604;
ステンレス SUS304
チタン Ti6Al-4V ×
ニッケル インコネル、ハステロイ ×

 

 

 
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