知識ゼロの初心者でも図面が描けるようになるの?立体から平面へ、平面から立体へ図形をイメージする方法から「はめあい」や「表面粗さ」などの各種記号の使い方を演習を交えて徹底的に学びます!
表面粗さの書き方
「表面粗さ」は機械加工した表面の粗さを規定するものです。切削や研削により加工された表面には、微細な凹凸が必ず出ます。
例えばパッキン等のシール面において、大きな凹凸があると液体の漏れに繋がります。
従って、部品の加工表面に凸凹の基準を設けることで製品の品質を確保することができます。
下図のように、丸棒を工具を使って切削した際の加工表面に表れる大きく波打つ凹凸を 「うねり」といい、加工方向にできる筋の方向を 「筋目方向」 といいます。そして、これら表面の肌の状態のことを 「表面粗さ(表面性状)」 といいます。
旧JISの表面粗さ記号
凹凸の基準を図面に指示するために「表面粗さ記号」が用いられます。
1992年までのJISにおいては、下記のように▽記号で表面粗さを指定していました。
三角記号 |
仕上げ面 |
---|---|
▽ | 粗仕上げ |
▽▽ | 並仕上げ |
▽▽▽ | 微鏡面仕上げ |
▽▽▽▽ | 鏡面仕上 |
仕上無し |
▽の数が多いほど表面の粗さが 「なめらか」 であるということです。
新JISでの表面粗さ記号
表面粗さは、「▽三角記号」から数値で規定できるように改正されました。
三角記号から2度の改正により、現在の記号が利用されています。
▽三角記号 → 旧JIS記号 → 新JIS記号
「▽三角記号」 や 「旧JIS記号」 も現在の図面で使われているケースがありますのでその違いを理解しておくと良いでしょう。
表面粗さに要求がない場合は以下の記号を用います。
旧JIS記号 |
新JIS記号 |
説明 |
---|---|---|
除去加工の要否を問わない | ||
除去加工を行う | ||
除去加工をしてはならない | ||
― |
部品一周の全周面同一表面性状の場合 |
表面粗さの要求がある場合は以下の記号を用います。
記号内の a から g に表面性状に必要な基準等を記入します。
まず、旧JISの表記です。
a から g には下記を記入します。
a : Ra 算術平均粗さ
b :加工方法
c :カットオフ値
c' :基準長さ・評価長さ
d :筋目の方向
e :削り代
f :Ra以外のパラメーター
g :表面うねり
次に、新JISの表記です。
a から g には下記を記入します。
a : 通過帯域または基準長さ、表面性状パラメータ記号とその値
b :複数パラメータが要求されたときの二番目以降のパラメータ指示
c :加工方法
d :筋目の方向
e :削り代
※必要に応じて記入しますので、全てを記入する必要があるわけではありません。
Ra 算術平均粗さ(中心線平均粗さ)とは
算術平均粗さは山の凸凹を平均にならした値です。
・中心線から下の谷の部分の面積の和=S1
・中心線から上の山の部分の面積の和=S2
としたとき、S1=S2になるような中心線です。
表面粗さの測定は以下の動画のように行われます。
一般的に粗さを指定する場合は、このRaがよく利用されます。しかし、シール面などキズが入ることによって機能を損なうような部品の表面には最も高い山と谷で求められるRzが利用される場合もあります。次の頁にRa,Rzと従来の仕上げ記号の関係を次の表に示します。
参考 算術平均粗さ(Ra)と従来の表記の関係
加工方法と筋目の方向
表面粗さ記号には、下図のように 「加工方法」や「筋目の方向」 を指定することができます。
加工記号の例
加工方法 |
記号 |
参考 |
---|---|---|
外丸削り |
L |
Turning (Lathe Turning) |
面削り |
LFC |
Facing |
中ぐり |
B |
Boring |
平削り |
P |
Planing |
フライス削り |
M |
Milling |
平フライス削り |
MP |
Plain Milling |
リーマ仕上げ |
DR |
Reaming |
その他の加工記号はこちらを参照ください。
筋目の方向とは
表面粗さ記号の図面への指示方法
実際に表面粗さ(表面性状)を図面に図示する場合の事例を説明します。
算術平均粗さ(中心線平均粗さ)Raの上限を指示する場合
筋目方向を指示する場合
外形線に指定する場合
図面の下または右から読めるように記入します。
寸法線に指定する場合
部品全部に指定する場合
表面粗さ記号を部品の正面図の近く、または、表題欄に記入します。
部分的に異なる場合
全体をカッコ外で仕上げ、部分的に指定があるものをカッコ内に記入します。また、下図は円筒状の部品であり、対称形状となるため、中心線のどちらか一方に記入します。
以上、ここまで表面粗さに関する解説をご覧いただき、ありがとうございました。表面粗さは、時代によって異なる記号や条件を用いて示されるため、初めて学ぶ方には少し複雑に感じるかもしれませんね。
しかし、表面粗さに関するすべての条件を指示する場合はほとんどありません。従って、大抵の場合は、基本となる指示方法をマスターしておけば、問題なく表面粗さを理解することができます。
弊社が提供するEラーニングを活用することで、表面粗さに関するより詳細かつ分かりやすい説明を得ることができます。また、弊社が提供するEラーニングには、表面粗さをはじめとするさまざまな図面を理解するための内容が数多く用意されています。
Eラーニングを活用することで、より効果的な学習ができ、表面粗さをはじめとする分野において専門的な知識を身につけることができます。ぜひ一度、Eラーニングを試してみてください。
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例えば、「切削部品設計入門講座」では、加工技術に必要な知識を体系的に学ぶことができ、加工を考慮した部品の設計が行えるようになります。
設計者は、設計する部品に要求される精度などを考慮して、加工機を選定し、適切に表面粗さを指示しなければなりません。このような技術を習得するには、製図の知識だけでは不十分です。ぜひEラーニングを活用して、より効果的な学習をしてみるのはいかがでしょうか。
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