高周波焼入れとは
高周波焼入れとは、鋼製部品全体ではなく、部品の表面のある一部に焼入れを行う手法の1つです。高周波焼入れの目的は、主に炭素鋼や低合金鋼の部品の表面を強くして、長持ちさせるために行うために行います。
画像引用:第一高周波工業株式会社 HP
「高周波焼入れ」は、さまざまな形状に合わせて対応できるため、産業機械のシャフトや歯車などの部品に広く用いられています。この方法では、部品の表面を簡単にかつ急速に加熱することができるため、一般的な熱処理方法としても知られています。
この焼入れの加熱原理はやや複雑です。
まず、焼入れをしたい部位にコイルを近づけ、そのコイルに高周波誘導電流を流すことで、コイルからは磁界が発生します。この磁界に作用して、金属表面に渦電流が発生し、その抵抗熱によって部品表面が加熱される仕組みになっています。
※渦電流は交流電流による電磁誘導によって発生する磁界と、誘導起電力と誘導電流により現われます。それが表皮効果によって表面で発生するのです。
ちなみに、高周波焼入れは、1回の加熱で済むわけではありません。
鋼材は加熱されたあと、急速に冷却されることで表面が硬化しますが、表面焼入れのままにしておくと、破損や研磨割れが発生しやすくなります。そのため、一般的には高周波焼入れした後は200℃以下の低温焼戻しを行うことが基本です。
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